おもちゃ箱に恋をした!?いえこれは断じて恋ではありません!

「つまり、三学期からアメリカに留学するってこと」
田中が、お箸で遊を指す
「うん、親的には、9月からが良かったらしいけど」
「そうだよね、アメリカは4月スタートじゃなくて、9月スタートだもんね。」
津田が、田中が遊に向けたお箸を手で倒した。
いつものように、机を合わせ、お昼ご飯を4人で食べている。
懐かしむ前に、あと3ヶ月て、またこの光景が無くなることが悲しい。

「なんで、9月留学じゃないの?ホントに帰ってこないかもって思ってたのに」
「それは、」
遊はちらっと、僕を見た。
そして
「それは、子供なりに足掻いたから。」
と、コンビニのおにぎりをほおばった。
「足掻くね、駄々を、こねたわけだ」
と田中が念を押した。
遊は僕を見つめて
「子供にだって、譲れない大切なものはあるから、限界まで、ワガママをしました」
「ありがと」
「なんで草壁がお礼言うの?」
つい出てしまった感謝の言葉が、田中につかまる。
「まぁいいじゃん!それより、文化祭一緒にできるんだね」
と、津田が話を変えてくれる。
「ああ、文化祭、クラスでなんか、進んでる?」
「全然、あっでも、草壁が山」
「あ〜何にも、決まってないよ。遊は、何かしたいことある?」
田中を遮り、僕は質問する。
津田も僕と同時に、田中の手を引いて
ガチャガチャと、田中を椅子にぶつけながら、
「ごめん、ジュース買ってくる」
と引きずり出してくれた。

「なにあれ?」
遊は不思議そうに2人をみている。
「なんだろう?あっ、それより、文化祭で何かしたいことは?」
「したいことかぁ…」
遊は僕を見ながら、頬杖をついて
「ない。だけど、温と一緒に模擬店は回りたい。温は?」
「そうだね、僕も同じかな。」
僕はぎこちなく笑った。
嘘ではない。
だけど、遊に漫才のこと、伝えないと。
そう思うと心が重くなった。
 
「行くぞー温君」
放課後、いつもの様に先輩が迎えにきた。
いつもと違うのは、遊がいること。
「あっ、はい!」
早く行かないと、先輩は漫才のことや、他にも余計なことを言いそう。
遊の顔をまともに見れないまま、
「じゃあ」 
と、田中と津田と合わせて、遊にも手を振り、
「先輩いきますよ」
と、僕は、走り出す。
「お前が、待たせてたんだろ」
文句を言いながら、走ってついてきてくれる先輩
「迎えに来なくていいですから」
「通り道だって言ってるだろ」
僕らは走りながら、会話する
 
教室から、かなり離れたので、僕は歩き出した。
先輩は、そんな僕に合わせてくれる
「優しいですね先輩は!」
僕は、なんだか分かった気がして、嬉しくなった。
「何だよ急に」
変に照れる先輩は、かわいい
「先輩はかわいいですし、カッコいいですし」
「だから、なんだって?」
「客観的事実てす」
「分かったよ、だから何だって?」
「AIみたいに完璧で。だけどAIと同じ、心は動かない」
「褒めてねーのかよ!分かりにくい!」
「あっすいません、僕、気がついちゃって。つい」
「ついね〜。心が動く相手は、俺じゃない?」
「はい」
「笑顔で寂しいこと言うじゃない」
「すみません、でも、先輩だけじゃなくて、基本、心なんてそう動かないですよ」
「でも、動く相手を見つけたと?」
「はい、見つけたと言うか…その人だけだと、確信出来たというか」
「その人は…温君の好きな人なの?」
「……いえ、好きにはなっちゃいけない人です。僕にとって唯一で。特別失いたくない人なので。」
「ふーん、ムズ!」