「えー漫才!」
「声がデカい、田中」
僕らは、3人でお昼を食べている。
ポッカリと空いた僕の隣
近すぎる距離で、僕の隣にいた遊は、まだいない。
「だって、あの山名先輩と草壁が文化祭で」
「だから、声がデカいって。まだハッキリと決まったわけじゃないし」
僕は辺りをみわたす。
教室にはいつも通り4〜5個のグループが、お昼を食べている。
特に僕らを気にしている様子はない。
彼らには、遊がいない僕らのグループなんて、このクラスに存在していのと一緒だろう。
「楽しみだなー、2人の漫才」
「津田、だからハッキリと、決まったわけじゃなくて」
「だけど、一緒に色々考えたりしてるんだろ?」
「まぁ、それは。いざって時に、間に合わないのは困るから」
「つまり、2人は前向きに、文化祭で漫才をしようと思ってるんだよね」
「別に、前向きにとか、そんな…」
「衣装は?女装とかすんの?」
「しないよ、田中。」
田中は拗ねる
「何か必要なものがあったら、探すの手伝うよ」
「津田…探すとは?」
「カツラとか」
「被らないよ、津田」
津田も拗ねる
「2人のお笑い知識は、かなり偏ってるよ。漫才は基本、何もいらないから」
「「「そうなの?」」
「そう、マイク一本。マイクの前で、ただ、ただ面白いことを話すのが漫才」
「なんで?」
「なんでって?」
「どうせ笑わせたいなら、面白い格好して、面白い話をした方がいいじゃん?」
「そうそう」
「はぁ?」
「どうよっ、俺の変な衣装着る案。山名先輩に提案してもいいぞ」
「しないよ。僕と先輩は、シンプルに話が面白い、そこだけに賭けてる漫才っていうものが好きなの。余計なものに頼らない」
田中と津田は首をかしげる
「なんで?いっぱい面白い方がいいじゃん」
「だから、衣装も髪型も体型も、小道具も、どこをとっても面白い、わけじゃない。ふらっと、出てきて面白い感じが、やっぱりカッコいいでしょ」
伝わるかな?
「なんで?」
やっぱり伝わんないか。そうだよな。
僕はあからさまなため息をついた。
「何でもない。だけど、何もいらないから、手伝いは大丈夫。あと、漫才の話は決定するまで、内緒な」
2人はふてくされながら、はーいと返事をした。
「それは、そうと、箱星、また帰国を延ばしたらしいな」
「えっ、なにそれ」
僕は、持っていたお箸を落としてしまった。
「職員室で、でもまだ、ね」
津田が僕のお箸を拾いながら、田中に目配せをする。
「どういうこと?」
「ハッキリ聞いたわけじゃないから、ただ箱星の親から学校に連絡があったっぽい」
「延びるって?」
「うん、ぽいな、ぽいだから」
なにそれ。
携帯をメッセージ画面まで操作する。
遊からの連絡は無い。
僕の手は、勝手にメッセージをうち始める。
だけど、それを送ることを、僕の頭が止める。
向こうは夜中だ。
携帯を放り投げるように手を放したから、携帯は机から滑り落ちた。
「大丈夫だよ。箱星君から連絡がきっとくるよ」
そう言って津田が携帯を拾ってくれた。
「よぉぉ〜し!草壁を元気づけるために、津田。明日はケーキ持ってきてよ」
「うん。そうだね、何がいい?」
2人の、カラ元気に励まされる。
優しすぎるよ、2人とも
「ありがと、でも大丈夫だよ」
「いや、食べたら元気でるから。そうだな〜」
田中は腕組みをし、難しい顔で考えている。
津田は、携帯のメモ欄をスタンバイしている。
「ジャンドゥーヤ津田と、翔子ショートケーキと」
えっえっ?
耳の入口で、渋滞を起こすケーキの名前
「ちょっと待って。その名前は?」
僕は、初めての経験に、なんと聞いていいか分からなかった。
田中は、すぐに僕の疑問に気付き
「変だろ?ケーキの名前」
「うん、ジャンドゥーヤ津田って、プロレスの選手みたいな」
「そうだよな〜でも、全部だから」
「全部って?」
津田は、照れてる?どんな顔?とにかく、微笑みを浮かべて田中と、僕のやり取りを聞いている。
「シュークリーム登美代、トシザッハ・トルテとか」
暗く沈んでた気持ちに、ボワっボワっと面白さがわき出て、気分が明るくなる。
ありがと〜津田家。
「どうしてそういうことになってるの?誰が名前つけてるの?」
「ばあちゃんだよな?津田」
「うん、毎回悩んでるよ」
「そうだよね、シュークリームだけでいいのに、商品名に人名付けるっていう、しばりを入れちゃってるから、悩むよね」
「俺、一回だけ、津田のばあちゃんに、名前の由来聞いたことあるんだけど、」
「うん、なんだった?」
僕は自然と田中の方へ体を傾ける
「分かりやすいんだって」
「分かりやすい…?シュークリームはシュークリームで分かりやすいし、ショートケーキはショートケーキで分かりやすいじゃん!すでに」
「だろ?だから俺もばあちゃんに聞いたわけだ、そしたら」
「そしたら?」
「誰が作ったか分かった方がいいでしょ、津田さんちが作ったよーって」
「ほぉう…じゃあ名前は、全部作った人の名前ってこと?商品は、津田のお母さん一人で作ってないの?」
「いや、作ってるのは津田の母ちゃんだけだ」
「あー分かんない!どういうこと?」
「だろ?だから俺も、もう一回、ばあちゃんに聞いたわけだ、そしたら」
「そしたら?」
「津田さんちが作りましたって、言うのが分かればいいから、津田さんちの誰かの名前が入ってればいいでしょー、と言うことだった」
「なるほど…やっぱり納得出来ない!だってお客さんは津田さんちに買いに行くわけたから、津田さんちが作りましたって、知ってるよね。だから、いらない情報じゃない?」
「いや、それがお客さんは、田熊って書いてある門を二つくぐって、津田さんちに買いに行くわけ。あっ、ばあちゃんが田熊ね。ばあちゃん的には、これは田熊の物じゃなくて、津田さんが一生懸命作ってますよってアピールする手段なわけ。ばあちゃんなりに、嫁に気を使った結果が、ジャンドゥーヤ津田であり、シュークリーム登美代なわけ」
「そうなんだ……。津田、津田のお母さんの名前は、登美代なの?」
僕は、携帯にメモをしながら、おにぎりを食べている津田に確認をした。
津田は携帯を見たまま、
「違う、おばさんの名前」
と答えた。
僕は、田中に助けを求める視線を投げた。
もう分けがわからない
「掘り下げるな!草壁。津田家は、掘り下げれば掘り下げるほど、俺らだけじゃ手に負えないから」
大げさな田中に
僕も、大きく深くうなずいた。
家にいても時計ばかりが気になる。
23時になったらメッセージを送ろう…
23時になった。だからってすぐ送ったら、待ちに待ってましたーみたいで…。もう少し、もう少し経ってから
〈帰国延びたの?〉
シンプルに軽い感じで僕は送った。
遊からは、きっと、
何で知ってるの?
まだ決まったわけじゃない。
決まったら、温にすぐ連絡するつもりだった。
こんな返事が返ってくるだろう
そんな、予想を繰り返していた。すると
〈そうなんだ、後1週間だけ。親のワガママで。ごめん〉
なんか、あっさりしたメッセージ。
1週間も、じゃなくて1週間だけ。かぁ…
なんだよ!ホントに、ごめんの効果は、もう無いって!
僕は携帯をベットに投げ出し倒れ込んだ。
〈全然大丈夫、アメリカゆっくり楽しんで〉
すぐに返信するのは、癪に触る。ゆっくりは、僕の精一杯の抵抗?嫌味?
それから20分後に、僕は、ゆっくりだけを削除して、メッセージを送信した。
「声がデカい、田中」
僕らは、3人でお昼を食べている。
ポッカリと空いた僕の隣
近すぎる距離で、僕の隣にいた遊は、まだいない。
「だって、あの山名先輩と草壁が文化祭で」
「だから、声がデカいって。まだハッキリと決まったわけじゃないし」
僕は辺りをみわたす。
教室にはいつも通り4〜5個のグループが、お昼を食べている。
特に僕らを気にしている様子はない。
彼らには、遊がいない僕らのグループなんて、このクラスに存在していのと一緒だろう。
「楽しみだなー、2人の漫才」
「津田、だからハッキリと、決まったわけじゃなくて」
「だけど、一緒に色々考えたりしてるんだろ?」
「まぁ、それは。いざって時に、間に合わないのは困るから」
「つまり、2人は前向きに、文化祭で漫才をしようと思ってるんだよね」
「別に、前向きにとか、そんな…」
「衣装は?女装とかすんの?」
「しないよ、田中。」
田中は拗ねる
「何か必要なものがあったら、探すの手伝うよ」
「津田…探すとは?」
「カツラとか」
「被らないよ、津田」
津田も拗ねる
「2人のお笑い知識は、かなり偏ってるよ。漫才は基本、何もいらないから」
「「「そうなの?」」
「そう、マイク一本。マイクの前で、ただ、ただ面白いことを話すのが漫才」
「なんで?」
「なんでって?」
「どうせ笑わせたいなら、面白い格好して、面白い話をした方がいいじゃん?」
「そうそう」
「はぁ?」
「どうよっ、俺の変な衣装着る案。山名先輩に提案してもいいぞ」
「しないよ。僕と先輩は、シンプルに話が面白い、そこだけに賭けてる漫才っていうものが好きなの。余計なものに頼らない」
田中と津田は首をかしげる
「なんで?いっぱい面白い方がいいじゃん」
「だから、衣装も髪型も体型も、小道具も、どこをとっても面白い、わけじゃない。ふらっと、出てきて面白い感じが、やっぱりカッコいいでしょ」
伝わるかな?
「なんで?」
やっぱり伝わんないか。そうだよな。
僕はあからさまなため息をついた。
「何でもない。だけど、何もいらないから、手伝いは大丈夫。あと、漫才の話は決定するまで、内緒な」
2人はふてくされながら、はーいと返事をした。
「それは、そうと、箱星、また帰国を延ばしたらしいな」
「えっ、なにそれ」
僕は、持っていたお箸を落としてしまった。
「職員室で、でもまだ、ね」
津田が僕のお箸を拾いながら、田中に目配せをする。
「どういうこと?」
「ハッキリ聞いたわけじゃないから、ただ箱星の親から学校に連絡があったっぽい」
「延びるって?」
「うん、ぽいな、ぽいだから」
なにそれ。
携帯をメッセージ画面まで操作する。
遊からの連絡は無い。
僕の手は、勝手にメッセージをうち始める。
だけど、それを送ることを、僕の頭が止める。
向こうは夜中だ。
携帯を放り投げるように手を放したから、携帯は机から滑り落ちた。
「大丈夫だよ。箱星君から連絡がきっとくるよ」
そう言って津田が携帯を拾ってくれた。
「よぉぉ〜し!草壁を元気づけるために、津田。明日はケーキ持ってきてよ」
「うん。そうだね、何がいい?」
2人の、カラ元気に励まされる。
優しすぎるよ、2人とも
「ありがと、でも大丈夫だよ」
「いや、食べたら元気でるから。そうだな〜」
田中は腕組みをし、難しい顔で考えている。
津田は、携帯のメモ欄をスタンバイしている。
「ジャンドゥーヤ津田と、翔子ショートケーキと」
えっえっ?
耳の入口で、渋滞を起こすケーキの名前
「ちょっと待って。その名前は?」
僕は、初めての経験に、なんと聞いていいか分からなかった。
田中は、すぐに僕の疑問に気付き
「変だろ?ケーキの名前」
「うん、ジャンドゥーヤ津田って、プロレスの選手みたいな」
「そうだよな〜でも、全部だから」
「全部って?」
津田は、照れてる?どんな顔?とにかく、微笑みを浮かべて田中と、僕のやり取りを聞いている。
「シュークリーム登美代、トシザッハ・トルテとか」
暗く沈んでた気持ちに、ボワっボワっと面白さがわき出て、気分が明るくなる。
ありがと〜津田家。
「どうしてそういうことになってるの?誰が名前つけてるの?」
「ばあちゃんだよな?津田」
「うん、毎回悩んでるよ」
「そうだよね、シュークリームだけでいいのに、商品名に人名付けるっていう、しばりを入れちゃってるから、悩むよね」
「俺、一回だけ、津田のばあちゃんに、名前の由来聞いたことあるんだけど、」
「うん、なんだった?」
僕は自然と田中の方へ体を傾ける
「分かりやすいんだって」
「分かりやすい…?シュークリームはシュークリームで分かりやすいし、ショートケーキはショートケーキで分かりやすいじゃん!すでに」
「だろ?だから俺もばあちゃんに聞いたわけだ、そしたら」
「そしたら?」
「誰が作ったか分かった方がいいでしょ、津田さんちが作ったよーって」
「ほぉう…じゃあ名前は、全部作った人の名前ってこと?商品は、津田のお母さん一人で作ってないの?」
「いや、作ってるのは津田の母ちゃんだけだ」
「あー分かんない!どういうこと?」
「だろ?だから俺も、もう一回、ばあちゃんに聞いたわけだ、そしたら」
「そしたら?」
「津田さんちが作りましたって、言うのが分かればいいから、津田さんちの誰かの名前が入ってればいいでしょー、と言うことだった」
「なるほど…やっぱり納得出来ない!だってお客さんは津田さんちに買いに行くわけたから、津田さんちが作りましたって、知ってるよね。だから、いらない情報じゃない?」
「いや、それがお客さんは、田熊って書いてある門を二つくぐって、津田さんちに買いに行くわけ。あっ、ばあちゃんが田熊ね。ばあちゃん的には、これは田熊の物じゃなくて、津田さんが一生懸命作ってますよってアピールする手段なわけ。ばあちゃんなりに、嫁に気を使った結果が、ジャンドゥーヤ津田であり、シュークリーム登美代なわけ」
「そうなんだ……。津田、津田のお母さんの名前は、登美代なの?」
僕は、携帯にメモをしながら、おにぎりを食べている津田に確認をした。
津田は携帯を見たまま、
「違う、おばさんの名前」
と答えた。
僕は、田中に助けを求める視線を投げた。
もう分けがわからない
「掘り下げるな!草壁。津田家は、掘り下げれば掘り下げるほど、俺らだけじゃ手に負えないから」
大げさな田中に
僕も、大きく深くうなずいた。
家にいても時計ばかりが気になる。
23時になったらメッセージを送ろう…
23時になった。だからってすぐ送ったら、待ちに待ってましたーみたいで…。もう少し、もう少し経ってから
〈帰国延びたの?〉
シンプルに軽い感じで僕は送った。
遊からは、きっと、
何で知ってるの?
まだ決まったわけじゃない。
決まったら、温にすぐ連絡するつもりだった。
こんな返事が返ってくるだろう
そんな、予想を繰り返していた。すると
〈そうなんだ、後1週間だけ。親のワガママで。ごめん〉
なんか、あっさりしたメッセージ。
1週間も、じゃなくて1週間だけ。かぁ…
なんだよ!ホントに、ごめんの効果は、もう無いって!
僕は携帯をベットに投げ出し倒れ込んだ。
〈全然大丈夫、アメリカゆっくり楽しんで〉
すぐに返信するのは、癪に触る。ゆっくりは、僕の精一杯の抵抗?嫌味?
それから20分後に、僕は、ゆっくりだけを削除して、メッセージを送信した。


