おもちゃ箱に恋をした!?いえこれは断じて恋ではありません!

「温ってパジャマで寝てるでしょ?」
朝の恒例、僕の机に、へばり付く遊。
昨日の夜、何してた?は、やっと遊に、毎日一緒だと伝わった。
その代わり、質問攻め。
「パジャマだけど」
「なんか、いいよな。パジャマ」
「…遊もパジャマなの?」
「俺はジャージ」
「なにそれー」
僕は、まだ遊の思考についていけない。
そこが話していて、楽しいところ。
「温だから、いいんだよ」
「なるほど…って全然分からないけど…もしかして、こういう感じかな?」

僕は椅子に、座り直し、背筋を正し
「遊って、半熟の目玉焼きより、しっかり焼いた方が好きでしょ?」
と、聞いてみた。
実は僕は、ほぼ毎日、遊の日常を想像している。
その中で、イメージしている僕の中の遊を、言葉にしてみた。
「なんで、わかるの?」
当たった!
僕は嬉しくて、ニコニコしてしまう。ヤバい。
1人で想像してるってバレたら、最悪だ。

「内緒、なんかいいよね、固いの」
「温も、黄身が固いのが好き?」
「ううん、半熟が好き」
「なんだよー」
「そういうの、言うやつでしよ?」
「そういうの?」
「自分は違うけど、相手はそうで、それがいいなってやつ?」
あれ、違った?
遊は少し間をおいて、瞬きを、何度かすると、

「それで言うなら、温。俺は、自分より温が好き」
と言ってくれた。
耳がジリジリと音をたてて熱くなる。
親友ってこんな感じなの?
誰かに聞かれて無いか?恥ずかしくて、周りを確認も出来ない。
僕は、平常心を心がけ
「それは、なんか違う気がする…当てはまってないかな?」
僕らは、無言で見つめ合う…
パチンと、僕らの間で、指が鳴らされた。

「ほっといたら、すぐフリーズするからなぁ、お前ら」
後ろの席に田中が登校してきていた。
「「おはよー」」
僕らは、とりあえず挨拶をした。
遊は、ふらっと自分の席に戻って行った。
田中は準備しながら、
「フリーズする前、何してたの?」
と聞いてきた。
「特に、何もしてないけど…」
「朝来て、目が合った途端、フリーズしたの?」
「いや、そうじゃないけど…えっと…自分は違うけど、相手はそうで、それがいいなって思うのを言うやつ…ゲーム?をしてた…かな」
「?」
田中の頭の上にハテナがハッキリと見えた。

「だから、自分はパジャマで寝て無いけど、パジャマで寝てる、A君をみて、いいなって思うみたいな」
「なんでソイツは、パジャマで寝たいのに寝ないんだ?」
「別に自分が寝たいわけじゃなくて、
自分は寝たいわけじゃないけど、パジャマで寝てるA君を」
「褒めてるってことか…お世辞か?お前ら、お世辞を言うゲームをしてたのか?」
「いや、お世辞を言うゲームは、してないけど」
「はい!わかった」
途中から、田中の隣で、話を聞いていた津田が、元気に手をあげた。
絶対わかってないと思うけどー
「津田、どうぞ」
僕は、津田を指名した。
「草壁君って運筆がきれいだよね」
と、自信満々な顔
うんぴつ…?
「あの、初めて鉛筆を持ったときに、鉛筆を上手に動かせた時に、言ってもらえるやつだよね。僕もう、鉛筆を持ち出して、10年以上経つので。てゆーか、お世辞だから、上手いと思ってもいないんだよね。あ〜〜ややこしい!変なとこ褒めてきて、だけどそれが嘘って。」
津田は、きょとんとしながら
「でも、そういうことでしょ?」
と、言ってきた。
「そういうことでは、無い」
僕はあえて、語気を強めた。
「はい!出ました」
と、田中が手をあげた。
絶対、できてないけど、
「じゃあ田中」
遊の方をチラッとみると、ニヤニヤしながら、机にうつ伏せになり、こちらを見ている。
こうなると思ったから、先に席に逃げたなー
「箱星と草壁って、いい友達だよな」
うん?
「それは、どういう答え?田中は、お世辞を言ってるんだよね?。あっ、もちろん、僕と遊は、お世辞を言うゲームを、してたわけではないけど。いい友達がお世辞?」
「うん、お前ら、ただの友達に見えないから」
えっ、この角度から、急な確信?
僕が、遊を好きなことが、バレてる?

「田中…それって」
自分から、口には出来ない。
口にした瞬間に本当になってしまう。
いや、もう本当の本当なんだけど、でも気持ちに蓋をしてるから、口には出せない。

「お前らって、めちゃくちゃ親友だろ」
…そっち
ホッと胸をなでおろす。
「そうだね」
朝の数分で、今日1日分のカロリーを消費した気分…疲れた。げっそりしている僕に
「つまり、普通のこと言った後に、褒めるってゲームだろ?」
「そうみたいだね」
田中、津田
違うんだよなー全然〜
でも否定する力がわかない
「そんな感じかな」
と、僕は田中と津田を受け流した。