「お兄ちゃん達、短冊書いて行って」
石川屋のパートのおばちゃんに、僕らは、それぞれ短冊を渡された。
そうかぁ、後、1ヶ月もしたら七夕か。
戸惑う僕らに、おばちゃんは
「好きな人と付き合えますよーに。とか、色々あるでしょ、若いんだから」
好きな人…
箱星は、
「すみません、好きな人はいなくて。何書こうかな〜ねぇ、どうする?」
と、僕を見た。
「あっ、うん…どうしょうかぁ」
「あら〜、最近の子は、草食系なのね〜」
そう言って、陳列棚に戻っていく、おばちゃん。
僕らは、バラバラに短冊を書いて、笹に結んだ。
箱星は、なんて書いたんだろう…
「喋っちゃうと、叶わないんだって」
そう、笑いながら、箱星は、その背をいかして、一番高いところに結んでいた。
脚立でも無いかぎり、見えない。
僕は、コソコソと、沢山、短冊がある場所に、自分の短冊も、潜り込ませた。
《大切な人の笑顔をずっと、側で、見ていられますように》
「お菓子作りの手伝いって、温っぽい」
無邪気に笑う箱星、その笑顔が大好きだ。
「そうぉ?」
僕らは、石川屋近くの、公園のベンチに並んで、座っていた。
「箱星は?」
「うん?」
こんなに暑いのに、汗もかかずに、いつも通り涼しげな箱星。
肌着が、ベトっと、体に張り付いている僕。
神様?
明らかに、僕と箱星は、違う体の造りをしてますよね?
「俺も、似たようなもんかな」
「えっ、親の手伝い?」
「うん、近くのスパーより、石川屋の野菜の方が、美味しいんだって、ほら」
と、エコバッグの中身を見せてくれた。
パプリカにサニーレタス、アスパラ、アボカト。
横文字の野菜ばっかりだな。
これは、おしゃれなのか?
いや、おしゃれとは言い切れない?ウチの食卓にも、レタスは出るし…
「温?」
どうでもいいことを考えてしまった。
箱星は、僕を見つめている。
「また、面白いこと考えてたの?」
「えっ?」
「温がフリーズしてる時って、そういう時でしょ」
バレてる…
「いや、別に、面白いかどうかは、分からないけど…箱星の買い物、横文字ばっかりだなーって思って」
「…横文字?」
「いや、だから、ウチなら、かぼちゃ、人参、ジャガイモとかだなーって」
「レタスは食べるでしょ、温のウチでも」
「そうそう、だから、違うかーって思ってて」
「違う?」
「だから、箱星とウチが、違うって思うのが、違ってて。やっぱり一緒な部分も、あるのかなって。
だけど、なんで僕は、かぼちゃとか、人参ばっかり買ってこいって、言われるんだろう?って」
「って…」
箱星の頭の上に、大きなハテナが見える。
せっかく、学校以外で会えたのに、どうでもいい話をしてしまった。
「あの、気にしないで!ウチの食卓が、おしゃれさのカケラも無いことなんて、箱星には関係無くて、箱星のウチはきっと、横文字ばっかりの、おしゃれな食卓なんだろうけど、それとこれとは別の話で…」
「別にウチの食卓も、温のウチと、変わらないと思うよ」
「まさかー」
僕は大袈裟にのけぞった。
「何そのリアクション」
「だって、箱星だよ。箱星遊の食卓だよ!お弁当にマリネとか入ってる家庭だよ」
「ちょっとイジってるじゃん」
「イジって無いって!お弁当にミニトマトのハニーマリネって」
「絶対イジってる。やっぱりな。マリネが俺のお弁当に入ってた日、お弁当を食べながら、温、フリーズしてたもん!絶対、頭の中でマリネって!って思ってただろ」
「いやいや、それは思ってたけど」
「ほらー」
「だけどイジっては無い。イメージ通りで、スゴイなーって」
僕は、出来るだけのフォローをしたいけど、これ以上は、言葉が出てこない。
「傷ついたわー」
箱星は大袈裟に、両手で胸を押さえた。
箱星のリアクションに、キュンとしてしまう。
「ごめん、ごめん」
「ホントに悪いと思ってる?」
「もちろん」
「じゃあ、お願いを1つ聞いてくれる?」
「お願い?」
何だ?僕に出来ることなんて、何かあるかな…。
「俺のこと、箱星じゃなくて、下の名前で呼んで」
下の名前…箱星ゆう。
ゆう…僕が、えっ、偉そうじゃない?
箱星遊を僕が呼び捨てなんて、、
「いや、僕がそう呼ぶのは…」
「傷ついたわー」
とまた、大袈裟に胸を抱え込む箱星、上目遣いでこちらを見る。
その綺麗な顔は、ズルいって
「わかったよ、わかった。」
箱星は、姿勢を正して、両手を膝におき、お行儀良く、僕の言葉を待っている。
「えっと…ゆう」
「もう一回、…もう一回呼んで」
「…ゆう」
「最高〜」
遊は、僕にハグをした。
その瞬間、心臓が、飛び跳ねて、僕を飛び上がらせ、大きく肩をビクっと揺らせた。
その肩を、遊は、ゆっくりと、撫でてくれた。
そんなことされたら、もっと好きになっちゃうよー。
家に帰ると、遅いと、母親に、ガミガミ怒られた。
ゆっくり行ってきていいと、言ってましたけどー
部屋で、イライラしていると、携帯のバイブを感じた。
〈お母さん、大丈夫だった?〉
遊からのメッセージ
絶対に怒られるって話しをしてたから、心配してメッセージをくれた。
本当に、優しいな。
ただの友達なのに、こんなに、気にかけてくれる。
〈大丈夫だよ〉
違うか?心配ご無用!みたいで、せっかくメッセージを、くれたのに失礼か?
〈ありがとう〉
をつければいい?
僕は熟考したのち、
〈メッセージありがとう!大丈夫だったよ〉
と送った。
夕方、お風呂に入りながら、ふと、遊は、僕を気遣ってくれたのに、僕からは、遊を気遣うメッセージを送らなかったことに、気がついた。
あーやってしまった…
僕、全然ダメダメだ〜〜
湯船に潜って、ギリギリまで息を止める。
これは自分への罰。に、なっているのか?
「はる〜早く出て来て。お父さん、帰ってきたわよー」
いつもより、ワントーン高い声の母
僕も、母親のように、遊の前だと、明らかに違う事は、あるだろうか?
そんなこと、あってはいけない。
この気持ちは、絶対、誰にもバレては、いけないのだから。
石川屋のパートのおばちゃんに、僕らは、それぞれ短冊を渡された。
そうかぁ、後、1ヶ月もしたら七夕か。
戸惑う僕らに、おばちゃんは
「好きな人と付き合えますよーに。とか、色々あるでしょ、若いんだから」
好きな人…
箱星は、
「すみません、好きな人はいなくて。何書こうかな〜ねぇ、どうする?」
と、僕を見た。
「あっ、うん…どうしょうかぁ」
「あら〜、最近の子は、草食系なのね〜」
そう言って、陳列棚に戻っていく、おばちゃん。
僕らは、バラバラに短冊を書いて、笹に結んだ。
箱星は、なんて書いたんだろう…
「喋っちゃうと、叶わないんだって」
そう、笑いながら、箱星は、その背をいかして、一番高いところに結んでいた。
脚立でも無いかぎり、見えない。
僕は、コソコソと、沢山、短冊がある場所に、自分の短冊も、潜り込ませた。
《大切な人の笑顔をずっと、側で、見ていられますように》
「お菓子作りの手伝いって、温っぽい」
無邪気に笑う箱星、その笑顔が大好きだ。
「そうぉ?」
僕らは、石川屋近くの、公園のベンチに並んで、座っていた。
「箱星は?」
「うん?」
こんなに暑いのに、汗もかかずに、いつも通り涼しげな箱星。
肌着が、ベトっと、体に張り付いている僕。
神様?
明らかに、僕と箱星は、違う体の造りをしてますよね?
「俺も、似たようなもんかな」
「えっ、親の手伝い?」
「うん、近くのスパーより、石川屋の野菜の方が、美味しいんだって、ほら」
と、エコバッグの中身を見せてくれた。
パプリカにサニーレタス、アスパラ、アボカト。
横文字の野菜ばっかりだな。
これは、おしゃれなのか?
いや、おしゃれとは言い切れない?ウチの食卓にも、レタスは出るし…
「温?」
どうでもいいことを考えてしまった。
箱星は、僕を見つめている。
「また、面白いこと考えてたの?」
「えっ?」
「温がフリーズしてる時って、そういう時でしょ」
バレてる…
「いや、別に、面白いかどうかは、分からないけど…箱星の買い物、横文字ばっかりだなーって思って」
「…横文字?」
「いや、だから、ウチなら、かぼちゃ、人参、ジャガイモとかだなーって」
「レタスは食べるでしょ、温のウチでも」
「そうそう、だから、違うかーって思ってて」
「違う?」
「だから、箱星とウチが、違うって思うのが、違ってて。やっぱり一緒な部分も、あるのかなって。
だけど、なんで僕は、かぼちゃとか、人参ばっかり買ってこいって、言われるんだろう?って」
「って…」
箱星の頭の上に、大きなハテナが見える。
せっかく、学校以外で会えたのに、どうでもいい話をしてしまった。
「あの、気にしないで!ウチの食卓が、おしゃれさのカケラも無いことなんて、箱星には関係無くて、箱星のウチはきっと、横文字ばっかりの、おしゃれな食卓なんだろうけど、それとこれとは別の話で…」
「別にウチの食卓も、温のウチと、変わらないと思うよ」
「まさかー」
僕は大袈裟にのけぞった。
「何そのリアクション」
「だって、箱星だよ。箱星遊の食卓だよ!お弁当にマリネとか入ってる家庭だよ」
「ちょっとイジってるじゃん」
「イジって無いって!お弁当にミニトマトのハニーマリネって」
「絶対イジってる。やっぱりな。マリネが俺のお弁当に入ってた日、お弁当を食べながら、温、フリーズしてたもん!絶対、頭の中でマリネって!って思ってただろ」
「いやいや、それは思ってたけど」
「ほらー」
「だけどイジっては無い。イメージ通りで、スゴイなーって」
僕は、出来るだけのフォローをしたいけど、これ以上は、言葉が出てこない。
「傷ついたわー」
箱星は大袈裟に、両手で胸を押さえた。
箱星のリアクションに、キュンとしてしまう。
「ごめん、ごめん」
「ホントに悪いと思ってる?」
「もちろん」
「じゃあ、お願いを1つ聞いてくれる?」
「お願い?」
何だ?僕に出来ることなんて、何かあるかな…。
「俺のこと、箱星じゃなくて、下の名前で呼んで」
下の名前…箱星ゆう。
ゆう…僕が、えっ、偉そうじゃない?
箱星遊を僕が呼び捨てなんて、、
「いや、僕がそう呼ぶのは…」
「傷ついたわー」
とまた、大袈裟に胸を抱え込む箱星、上目遣いでこちらを見る。
その綺麗な顔は、ズルいって
「わかったよ、わかった。」
箱星は、姿勢を正して、両手を膝におき、お行儀良く、僕の言葉を待っている。
「えっと…ゆう」
「もう一回、…もう一回呼んで」
「…ゆう」
「最高〜」
遊は、僕にハグをした。
その瞬間、心臓が、飛び跳ねて、僕を飛び上がらせ、大きく肩をビクっと揺らせた。
その肩を、遊は、ゆっくりと、撫でてくれた。
そんなことされたら、もっと好きになっちゃうよー。
家に帰ると、遅いと、母親に、ガミガミ怒られた。
ゆっくり行ってきていいと、言ってましたけどー
部屋で、イライラしていると、携帯のバイブを感じた。
〈お母さん、大丈夫だった?〉
遊からのメッセージ
絶対に怒られるって話しをしてたから、心配してメッセージをくれた。
本当に、優しいな。
ただの友達なのに、こんなに、気にかけてくれる。
〈大丈夫だよ〉
違うか?心配ご無用!みたいで、せっかくメッセージを、くれたのに失礼か?
〈ありがとう〉
をつければいい?
僕は熟考したのち、
〈メッセージありがとう!大丈夫だったよ〉
と送った。
夕方、お風呂に入りながら、ふと、遊は、僕を気遣ってくれたのに、僕からは、遊を気遣うメッセージを送らなかったことに、気がついた。
あーやってしまった…
僕、全然ダメダメだ〜〜
湯船に潜って、ギリギリまで息を止める。
これは自分への罰。に、なっているのか?
「はる〜早く出て来て。お父さん、帰ってきたわよー」
いつもより、ワントーン高い声の母
僕も、母親のように、遊の前だと、明らかに違う事は、あるだろうか?
そんなこと、あってはいけない。
この気持ちは、絶対、誰にもバレては、いけないのだから。


