『実家に無限にあるもの』
飴?
傘?
食器?
やっぱり、鵜飼さんが言っていた、
"水筒"が一番、面白い
高校生になって3週間。
僕は、いつも、好きな芸人、豆皿さんのラジオやYouTubeを回想している。
だって、案の定、僕はぼっちとなったからだ。
目立たないように、あんなに心掛けていたのに…
入学式当日の帰り道、具合が悪そうな、ウチの制服を着た女子を見かけた。
次の瞬間には、僕は彼女が戻したもの(ゲロ)を両手でキャッチしていた。
「大丈夫ですか?」
声をかけた瞬間、彼女は走り去った。
次の日から僕は、ゲロキャチャーというあだ名で、悪目立ちした。ゲロのついたあだ名の人間に、誰も話しかけてはこなかった。当たり前かぁ。
賑やかな休み時間。
机にうつ伏せになり、豆皿さんのフリートークを回想していた。
ボケの鵜飼さんの、飄々としているところが好きだ。
明日からGW。
教室を見渡すと、みんな楽しそうに、遊ぶ計画を立てている。
視界に、僕と同じ様に、ぼっちになっている奴が入ってきた。
いつも授業中、最前列で堂々と寝ている
箱星遊
おもちゃ箱を連想させる名前の彼は、入学当初は、一軍の中心にいた。
超絶イケメンの彼に、自然と人が集まった。
僕には一生関係の無い、遠すぎる存在
そう思っていた。
だけど、おもちゃ箱は一軍から離脱した。
無口、無表情、ノーリアクションの、おもちゃ箱から、他の一軍達が離れていったからだ。
おもちゃ箱は、僕の斜め前。
いつも見惚れてしまう綺麗な寝顔…って、ドキドキなんかしなぞ!
恋なんて絶対しない!
高校では、絶対に友達を作りたい!
教壇の上では、担任が、帰りのホームルームの閉めをしている。
明日からのGWについて…
はしゃぐなよーとか。
もうすぐ中間テストだからなーとか。
みんな、浮き足立っていて、誰も話を聞いていないけど。
担任の話が終ると、それぞれのグループでまた、GWの話が始まる。
居心地が悪すぎる。
僕は1人、足早に昇降口に向かった。
ザーー、雨の音…
傘を持って来なかったなぁ…そう思いながら外を見ていると
周りの生徒達の
「最悪」
「雨なんて聞いてないよ」
といった落胆と、ため息混じりの声が次々と聞こえてくる。
僕は、外に出た。
ぬるいザーザー振りの雨を受けながら、空を見上げる。
このまま予報からはみ出して、もっとわがままに降ればいい。
それこそ、自然…なんてね〜
僕は、静かに笑ってしまった。
「いた。」
痛い?ぶつかった?
「すみません」
謝りながら声がした方に、顔を向けると
傘をさした、おもちゃ箱が立っていた。
おもちゃ箱は、微笑みながら、僕を傘に入れてくれた。
そして
「ありがとう」
と、言ってくれた。
初めて、ちゃんと聞くおもちゃ箱の声で、僕の心臓は、小刻みに動いた。
「えっ?うん」
よく、わからないが、お礼を言われた。
お礼を言うのは、僕の方だよね
…傘に入れてもらってるわけだし。
だけど、お礼を言われてしまった…
お礼を言われたら、なんて言うんだっけ?
「どういたしまして…」
あってる?かな…
戸惑っている僕を見ながら、おもちゃ箱は、もう一度微笑み、傘を畳んだ。
ぬるい雨がまた、僕らの全身をうつ。
おもちゃ箱は、校門に向かってザーザー振りの雨の中、駆けていった。
傘がぶつかり合う音、人々のため息が漂う、雨の中に飛び出した、おもちゃ箱は、泥だらけの靴で爽やかに、輝いていた。
おもちゃ箱…箱星遊、不思議なヤツ
「温、お風呂」
いつも通り、ノックもせずに姉が入ってくる
「ノック!」
椅子を回転させながら振り返った僕は、いつもより、強く、姉に言ってしまった
姉は、驚く様子もなく、なぜかニヤニヤしながら、近づいてくる。
なに?なに?
「はーるー、恋した?」
「なっ、なんだよ!急に」
「だってぇ、温がプライベートを気にするのって、恋してる時だけでしょ?」
「知らないよーそんなの」
「小6のたっくんの時も、中学の佐藤君の時も」
あーうるさい!思い出したくもない名前を…
「うるさい!うるさい!今回はそれとは違うから」
僕は姉を部屋から押し出した
「違うって何が違うの?」
姉はしつこい。
ドアのすき間から、顔だけ出して、聞いてくる。
「だから、今までとは違うの」
僕は、姉を完全に閉め出し、ドアに、もたれる。
廊下で、まだ姉の声が聞こえる
「何が違うの?」
「だから、何って…全部だよ!」
僕は、あんな超絶イケメンを好きになったりしない。
宇宙ほど遠い存在、釣り合わないのは分かっている。
ただ、少し彼の声に心臓が動いただけ。
それだけ…
てゆーか、恋なんてしてる場合じゃ無いんだ!
高校では、友達を作りたい
そして、もう友達を好きになったりはしない。
友達から笑われることも、嫌われることも、友達を失うことも、もうしたくない
そのはずだったのにー、ゲロキャチャーだもんなぁ…
飴?
傘?
食器?
やっぱり、鵜飼さんが言っていた、
"水筒"が一番、面白い
高校生になって3週間。
僕は、いつも、好きな芸人、豆皿さんのラジオやYouTubeを回想している。
だって、案の定、僕はぼっちとなったからだ。
目立たないように、あんなに心掛けていたのに…
入学式当日の帰り道、具合が悪そうな、ウチの制服を着た女子を見かけた。
次の瞬間には、僕は彼女が戻したもの(ゲロ)を両手でキャッチしていた。
「大丈夫ですか?」
声をかけた瞬間、彼女は走り去った。
次の日から僕は、ゲロキャチャーというあだ名で、悪目立ちした。ゲロのついたあだ名の人間に、誰も話しかけてはこなかった。当たり前かぁ。
賑やかな休み時間。
机にうつ伏せになり、豆皿さんのフリートークを回想していた。
ボケの鵜飼さんの、飄々としているところが好きだ。
明日からGW。
教室を見渡すと、みんな楽しそうに、遊ぶ計画を立てている。
視界に、僕と同じ様に、ぼっちになっている奴が入ってきた。
いつも授業中、最前列で堂々と寝ている
箱星遊
おもちゃ箱を連想させる名前の彼は、入学当初は、一軍の中心にいた。
超絶イケメンの彼に、自然と人が集まった。
僕には一生関係の無い、遠すぎる存在
そう思っていた。
だけど、おもちゃ箱は一軍から離脱した。
無口、無表情、ノーリアクションの、おもちゃ箱から、他の一軍達が離れていったからだ。
おもちゃ箱は、僕の斜め前。
いつも見惚れてしまう綺麗な寝顔…って、ドキドキなんかしなぞ!
恋なんて絶対しない!
高校では、絶対に友達を作りたい!
教壇の上では、担任が、帰りのホームルームの閉めをしている。
明日からのGWについて…
はしゃぐなよーとか。
もうすぐ中間テストだからなーとか。
みんな、浮き足立っていて、誰も話を聞いていないけど。
担任の話が終ると、それぞれのグループでまた、GWの話が始まる。
居心地が悪すぎる。
僕は1人、足早に昇降口に向かった。
ザーー、雨の音…
傘を持って来なかったなぁ…そう思いながら外を見ていると
周りの生徒達の
「最悪」
「雨なんて聞いてないよ」
といった落胆と、ため息混じりの声が次々と聞こえてくる。
僕は、外に出た。
ぬるいザーザー振りの雨を受けながら、空を見上げる。
このまま予報からはみ出して、もっとわがままに降ればいい。
それこそ、自然…なんてね〜
僕は、静かに笑ってしまった。
「いた。」
痛い?ぶつかった?
「すみません」
謝りながら声がした方に、顔を向けると
傘をさした、おもちゃ箱が立っていた。
おもちゃ箱は、微笑みながら、僕を傘に入れてくれた。
そして
「ありがとう」
と、言ってくれた。
初めて、ちゃんと聞くおもちゃ箱の声で、僕の心臓は、小刻みに動いた。
「えっ?うん」
よく、わからないが、お礼を言われた。
お礼を言うのは、僕の方だよね
…傘に入れてもらってるわけだし。
だけど、お礼を言われてしまった…
お礼を言われたら、なんて言うんだっけ?
「どういたしまして…」
あってる?かな…
戸惑っている僕を見ながら、おもちゃ箱は、もう一度微笑み、傘を畳んだ。
ぬるい雨がまた、僕らの全身をうつ。
おもちゃ箱は、校門に向かってザーザー振りの雨の中、駆けていった。
傘がぶつかり合う音、人々のため息が漂う、雨の中に飛び出した、おもちゃ箱は、泥だらけの靴で爽やかに、輝いていた。
おもちゃ箱…箱星遊、不思議なヤツ
「温、お風呂」
いつも通り、ノックもせずに姉が入ってくる
「ノック!」
椅子を回転させながら振り返った僕は、いつもより、強く、姉に言ってしまった
姉は、驚く様子もなく、なぜかニヤニヤしながら、近づいてくる。
なに?なに?
「はーるー、恋した?」
「なっ、なんだよ!急に」
「だってぇ、温がプライベートを気にするのって、恋してる時だけでしょ?」
「知らないよーそんなの」
「小6のたっくんの時も、中学の佐藤君の時も」
あーうるさい!思い出したくもない名前を…
「うるさい!うるさい!今回はそれとは違うから」
僕は姉を部屋から押し出した
「違うって何が違うの?」
姉はしつこい。
ドアのすき間から、顔だけ出して、聞いてくる。
「だから、今までとは違うの」
僕は、姉を完全に閉め出し、ドアに、もたれる。
廊下で、まだ姉の声が聞こえる
「何が違うの?」
「だから、何って…全部だよ!」
僕は、あんな超絶イケメンを好きになったりしない。
宇宙ほど遠い存在、釣り合わないのは分かっている。
ただ、少し彼の声に心臓が動いただけ。
それだけ…
てゆーか、恋なんてしてる場合じゃ無いんだ!
高校では、友達を作りたい
そして、もう友達を好きになったりはしない。
友達から笑われることも、嫌われることも、友達を失うことも、もうしたくない
そのはずだったのにー、ゲロキャチャーだもんなぁ…


