夕日が眠りにつき、すっかり夜に染められた街は昼間の喧騒が嘘のように息をひそめる。
周囲から聞こえてくる音と言えば、時々そばを通っていく仕事帰りらしき車のエンジン音くらいのものだ。
自分の息遣いや鼓動の音が直に伝わってくるのを感じながら、人気のない歩道を歩く。
ふいに頬を撫でていった春風は、荒んだ心を慰めるかのように優しい音をしていた。
私は、どうしてこんなにも疲れているのだろうか。
そう自分に問いかけてみたものの、少し考えてみれば理由は明白だった。
大人から求められる“普通”というものに疲弊しているのだ。
普通に学校に行って、普通に家族と仲良くする、そんな世間一般的に普通とされる常識が私にとってはこの上ない重荷だった。
学校に行くことが辛くなったり、家族の空気が濁っていたり、誰もが生きていれば一度は経験するような些末な苦しみの種に、私は耐えられそうにないのだ。
だから普通から逃げ出したい。でも普通のレールから外れるのは怖い。そんなどうしようもない生きづらさ。
世の中に数えきれないほどある生きづらさにはそれぞれ名前がある。
ただの個性や怠惰だと吐き捨てられていた頃から時代は移り変わり、どんな特徴の生きづらさにも名前がつくようになった。
だけど、今のところ私の生きづらさには名前がない。
取るに足らない痛み、そんな表現がぴったりで、私の生きづらさは現状ただの怠惰や弱さ由来のものでしかない。
きっと、私と同じような普通とのわだかまりを抱えている人はこの世にごまんといる。
だから、助けてと声を上げたところで“みんな辛いのは同じだよ”という言葉が返ってくるだけだ。
どんなに苦しんでいたとしても、普通から逃げ出すことは間違いなのだろうか。
私には、その答えが分からない。もしそれが不正解なら、私はどうすればいいんだろう。
息が詰まるこの日々を、命尽きるまで生き続けなければいけないのなら、私はどうしたらいいんだろう。
どれだけ闇雲に手を伸ばしても、その自問自答の結論は見出せないままだ。
この生きづらさは、ある角度から見ると夜に似ていると思う。
夜はこの生きづらさと同様、誰もが感じる不安や恐怖を纏っているからだ。
夜になるたび、頭に浮かんでくる心配事に苛まれている人、理由もなく泣き出してしまう人、夜という存在によって起こる不安に苦痛を感じる人は大勢いるだろう。
そしてその夜は毎日誰の元にも平等に訪れる。そんな様が私の目にはこの生きづらさと重なって映るのだ。
白む気配の見えない夜も、いつかは東の空から朝日の光が差して明けるものだと誰かが言っていた。
この夜も、いつか明ける日は来るのだろうか。
周囲から聞こえてくる音と言えば、時々そばを通っていく仕事帰りらしき車のエンジン音くらいのものだ。
自分の息遣いや鼓動の音が直に伝わってくるのを感じながら、人気のない歩道を歩く。
ふいに頬を撫でていった春風は、荒んだ心を慰めるかのように優しい音をしていた。
私は、どうしてこんなにも疲れているのだろうか。
そう自分に問いかけてみたものの、少し考えてみれば理由は明白だった。
大人から求められる“普通”というものに疲弊しているのだ。
普通に学校に行って、普通に家族と仲良くする、そんな世間一般的に普通とされる常識が私にとってはこの上ない重荷だった。
学校に行くことが辛くなったり、家族の空気が濁っていたり、誰もが生きていれば一度は経験するような些末な苦しみの種に、私は耐えられそうにないのだ。
だから普通から逃げ出したい。でも普通のレールから外れるのは怖い。そんなどうしようもない生きづらさ。
世の中に数えきれないほどある生きづらさにはそれぞれ名前がある。
ただの個性や怠惰だと吐き捨てられていた頃から時代は移り変わり、どんな特徴の生きづらさにも名前がつくようになった。
だけど、今のところ私の生きづらさには名前がない。
取るに足らない痛み、そんな表現がぴったりで、私の生きづらさは現状ただの怠惰や弱さ由来のものでしかない。
きっと、私と同じような普通とのわだかまりを抱えている人はこの世にごまんといる。
だから、助けてと声を上げたところで“みんな辛いのは同じだよ”という言葉が返ってくるだけだ。
どんなに苦しんでいたとしても、普通から逃げ出すことは間違いなのだろうか。
私には、その答えが分からない。もしそれが不正解なら、私はどうすればいいんだろう。
息が詰まるこの日々を、命尽きるまで生き続けなければいけないのなら、私はどうしたらいいんだろう。
どれだけ闇雲に手を伸ばしても、その自問自答の結論は見出せないままだ。
この生きづらさは、ある角度から見ると夜に似ていると思う。
夜はこの生きづらさと同様、誰もが感じる不安や恐怖を纏っているからだ。
夜になるたび、頭に浮かんでくる心配事に苛まれている人、理由もなく泣き出してしまう人、夜という存在によって起こる不安に苦痛を感じる人は大勢いるだろう。
そしてその夜は毎日誰の元にも平等に訪れる。そんな様が私の目にはこの生きづらさと重なって映るのだ。
白む気配の見えない夜も、いつかは東の空から朝日の光が差して明けるものだと誰かが言っていた。
この夜も、いつか明ける日は来るのだろうか。
