最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は、ずっと書いてみたかった「法廷」を舞台にした物語にチャレンジしてみました。
当初は『ブルーヘヴン』及びその派生作品とはまったく別の新作として考えていたのですが、気がつけば、結局は派生作品の延長のような物語になっていました。
ただ、本作はこれまでの青春恋愛ものとは少し趣を変え、ヒューマンドラマ寄りのテイストになっています。
恋愛要素もありますが、そちらについては別の物語で詳しく描いています。
そして、主人公を考えている中で急浮上したのが――かつて「最終兵器」と呼ばれた天使、もとい神城玲でした。
彼はエディの息子で、瑠花の弟。
そして祖父は、失恋の傷心旅行で訪れたパリでエマに一目惚れし、出会ったその日にプロポーズして日本へ連れてきた、あの情熱的な男性です。
その祖父こそが、玲の尊敬する弁護士のモデルであり、彼が弁護士を目指すきっかけとなった人物でもあります。
幼い頃の玲は、ある意味無敵でした。
屈託のない笑顔で、悪気なく相手の急所を正確に突く。
切れ味抜群の言葉を次々と繰り出しながら、本人はむしろ「困っている人を助けている」つもり。
子どもの頃なら「純粋だから仕方ないよね」で済んでいたことも、大人になるとそうはいきません。
玲自身も成長するにつれ、自分の言葉が時として必要以上に人を傷つけてしまうことを知ります。
そしていつしか、その破壊力を恐れ、自分の最大の武器であるはずの言葉を封印するようになりました。
自分の言葉で、誰かを救いたい。
そう願って弁護士になった青年が、その言葉の威力を誰よりも恐れている。
本来なら最大の武器になるはずのものを使いこなせず、思うように力を発揮できない。
そんな玲の葛藤も、本作で描きたかったもののひとつです。
そして、そんな彼を支えるのが、父・エディの友人でもある佐々木武蔵です。
武蔵は、自身の新人時代の姿を玲に重ねながら、弁護士として彼を指導していきます。
一方で、プライベートでは玲が幼い頃からずっと成長を見守ってきた人物でもあり、玲にとっては師匠であると同時に、もう一人の父親のような存在でもあります。
言葉は、人を傷つけることもある。
けれど、使い方次第では、誰かを守り、救うための武器にもなる。
かつて「最終兵器」と呼ばれた少年が、その武器とどう向き合い、一人の弁護士として成長していくのか。
そんな玲の物語を、これからも見守っていただけたら嬉しいです。
現在、少しずつ追話も更新しています。
中でも個人的に「9. 特別養子縁組」は、かなり設定にこだわって描いたエピソードです。
というのも、筆者は長男を出産する年まで、約五年間、児童相談所に勤務していました。
その中で特に印象に残っているもののひとつが、血のつながらない子どもを家族として迎える「特別養子縁組」に関わるケースでした。
望まない妊娠をし、自分では育てる自信がないため養子に出したいと訴えていた若い女性。
子どもには触れず、顔も見ないまま離れたいと話していたにもかかわらず、出産後、生まれた子どもの顔を見た瞬間に「育てたい」と涙ながらに気持ちを変える――そんな場面を目の当たりにしたことがあります。
最終的には、その時々の感情だけではなく、本人の心身の状態や生活環境、そして何より子どもが安定した環境で育つためには何が必要なのかを慎重に検討しながら、支援が進められていきました。
産前と産後で気持ちが変わることもある。
だからこそ、すぐに結論を出さない。
子どものこれからの人生に関わる選択だからこそ、時間をかけて考える必要がある。
その経験を通して、特別養子縁組は物語の中だけに存在するものではなく、現実の中で、多くの人が悩み、迷い、考え抜いた末に選択する制度なのだと強く感じました。
かなり重いテーマではありますが、この経験があったからこそ、いつか物語の中でも描いてみたいと思っていました。
そして今回は、後の玲の初恋物語にもつながるエピソードとして、できる限り現実味を感じてもらえるよう意識して描いています。
「特別養子縁組」の章には法廷シーンはありません。
けれど、裁判だけが弁護士の仕事ではありません。
人生の大きな岐路に立つ誰かの話を聞き、制度を説明し、その人が自分で選択していけるよう支える。
そんな少し違った角度からも、「弁護士」という仕事を感じていただけたら嬉しいです。
【新作のお知らせ】
『月鏡の花嫁―婚約破棄された双子の姉は、地縛霊に陥れられた末、皇子の花嫁になる―』を公開しました。
これまで書いてきた作品とは少しテイストを変え、今回は初の「和風ファンタジー」です。
霊能力者の名家に生まれながら、まったく力を持たない双子の姉・琴子。
一方、妹の絃子は強い霊能力を持つものの、高慢で思いやりに欠け、幼い頃から姉を見下していました。
霊能力がないことを理由に、琴子は代々神官の血を引く許嫁・遼から婚約破棄され、その遼まで妹に奪われてしまいます。
さらに絃子は遼との子を身ごもり、両親からも冷遇されてきた琴子は、とうとう自分にはどこにも居場所がないと絶望します。
そんな琴子を救ったのは、唯一の親友・小夜子でした。
しかし、小夜子の正体は地縛霊。
生前、親友に婚約者を奪われ、自ら命を絶った過去を持つ女性です。
本来は強い怨念を抱えている小夜子でしたが、慈愛に満ちた琴子のそばではその怨念が静まり、琴子にだけ触れられるほど実体化できるようになっていました。
小夜子は琴子が大好きだった。
だからこそ、琴子が結婚して自分のもとを離れ、またひとりぼっちになることが怖かった。
その寂しさと執着から、小夜子は琴子の結婚を妨害します。
けれど、その妨害によって琴子の運命は大きく動き始めることに。
結果として、琴子は以前よりはるかに素敵な相手と巡り会います。
それでも琴子は、「たとえ自分を想ってのことでも、人の幸せを妨害する人のそばにはいられない」と、小夜子との決別を選びます。
大好きだから、守りたい。
大好きだから、そばにいてほしい。
だからこそ、大切な人を欺いてしまった――。
そんな地縛霊の歪んだ優しさが、やがて琴子に眠っていた“選ばれた者だけが持つ力”の覚醒と、一国の皇子との縁談へとつながっていきます。
無能と蔑まれ、すべてを奪われた双子の姉が、本当の力と自分を愛してくれる人を手に入れる。
少し切なくて、最後は幸せな、和風ファンタジー×逆転シンデレラストーリーです。
今回は、ずっと書いてみたかった「法廷」を舞台にした物語にチャレンジしてみました。
当初は『ブルーヘヴン』及びその派生作品とはまったく別の新作として考えていたのですが、気がつけば、結局は派生作品の延長のような物語になっていました。
ただ、本作はこれまでの青春恋愛ものとは少し趣を変え、ヒューマンドラマ寄りのテイストになっています。
恋愛要素もありますが、そちらについては別の物語で詳しく描いています。
そして、主人公を考えている中で急浮上したのが――かつて「最終兵器」と呼ばれた天使、もとい神城玲でした。
彼はエディの息子で、瑠花の弟。
そして祖父は、失恋の傷心旅行で訪れたパリでエマに一目惚れし、出会ったその日にプロポーズして日本へ連れてきた、あの情熱的な男性です。
その祖父こそが、玲の尊敬する弁護士のモデルであり、彼が弁護士を目指すきっかけとなった人物でもあります。
幼い頃の玲は、ある意味無敵でした。
屈託のない笑顔で、悪気なく相手の急所を正確に突く。
切れ味抜群の言葉を次々と繰り出しながら、本人はむしろ「困っている人を助けている」つもり。
子どもの頃なら「純粋だから仕方ないよね」で済んでいたことも、大人になるとそうはいきません。
玲自身も成長するにつれ、自分の言葉が時として必要以上に人を傷つけてしまうことを知ります。
そしていつしか、その破壊力を恐れ、自分の最大の武器であるはずの言葉を封印するようになりました。
自分の言葉で、誰かを救いたい。
そう願って弁護士になった青年が、その言葉の威力を誰よりも恐れている。
本来なら最大の武器になるはずのものを使いこなせず、思うように力を発揮できない。
そんな玲の葛藤も、本作で描きたかったもののひとつです。
そして、そんな彼を支えるのが、父・エディの友人でもある佐々木武蔵です。
武蔵は、自身の新人時代の姿を玲に重ねながら、弁護士として彼を指導していきます。
一方で、プライベートでは玲が幼い頃からずっと成長を見守ってきた人物でもあり、玲にとっては師匠であると同時に、もう一人の父親のような存在でもあります。
言葉は、人を傷つけることもある。
けれど、使い方次第では、誰かを守り、救うための武器にもなる。
かつて「最終兵器」と呼ばれた少年が、その武器とどう向き合い、一人の弁護士として成長していくのか。
そんな玲の物語を、これからも見守っていただけたら嬉しいです。
現在、少しずつ追話も更新しています。
中でも個人的に「9. 特別養子縁組」は、かなり設定にこだわって描いたエピソードです。
というのも、筆者は長男を出産する年まで、約五年間、児童相談所に勤務していました。
その中で特に印象に残っているもののひとつが、血のつながらない子どもを家族として迎える「特別養子縁組」に関わるケースでした。
望まない妊娠をし、自分では育てる自信がないため養子に出したいと訴えていた若い女性。
子どもには触れず、顔も見ないまま離れたいと話していたにもかかわらず、出産後、生まれた子どもの顔を見た瞬間に「育てたい」と涙ながらに気持ちを変える――そんな場面を目の当たりにしたことがあります。
最終的には、その時々の感情だけではなく、本人の心身の状態や生活環境、そして何より子どもが安定した環境で育つためには何が必要なのかを慎重に検討しながら、支援が進められていきました。
産前と産後で気持ちが変わることもある。
だからこそ、すぐに結論を出さない。
子どものこれからの人生に関わる選択だからこそ、時間をかけて考える必要がある。
その経験を通して、特別養子縁組は物語の中だけに存在するものではなく、現実の中で、多くの人が悩み、迷い、考え抜いた末に選択する制度なのだと強く感じました。
かなり重いテーマではありますが、この経験があったからこそ、いつか物語の中でも描いてみたいと思っていました。
そして今回は、後の玲の初恋物語にもつながるエピソードとして、できる限り現実味を感じてもらえるよう意識して描いています。
「特別養子縁組」の章には法廷シーンはありません。
けれど、裁判だけが弁護士の仕事ではありません。
人生の大きな岐路に立つ誰かの話を聞き、制度を説明し、その人が自分で選択していけるよう支える。
そんな少し違った角度からも、「弁護士」という仕事を感じていただけたら嬉しいです。
【新作のお知らせ】
『月鏡の花嫁―婚約破棄された双子の姉は、地縛霊に陥れられた末、皇子の花嫁になる―』を公開しました。
これまで書いてきた作品とは少しテイストを変え、今回は初の「和風ファンタジー」です。
霊能力者の名家に生まれながら、まったく力を持たない双子の姉・琴子。
一方、妹の絃子は強い霊能力を持つものの、高慢で思いやりに欠け、幼い頃から姉を見下していました。
霊能力がないことを理由に、琴子は代々神官の血を引く許嫁・遼から婚約破棄され、その遼まで妹に奪われてしまいます。
さらに絃子は遼との子を身ごもり、両親からも冷遇されてきた琴子は、とうとう自分にはどこにも居場所がないと絶望します。
そんな琴子を救ったのは、唯一の親友・小夜子でした。
しかし、小夜子の正体は地縛霊。
生前、親友に婚約者を奪われ、自ら命を絶った過去を持つ女性です。
本来は強い怨念を抱えている小夜子でしたが、慈愛に満ちた琴子のそばではその怨念が静まり、琴子にだけ触れられるほど実体化できるようになっていました。
小夜子は琴子が大好きだった。
だからこそ、琴子が結婚して自分のもとを離れ、またひとりぼっちになることが怖かった。
その寂しさと執着から、小夜子は琴子の結婚を妨害します。
けれど、その妨害によって琴子の運命は大きく動き始めることに。
結果として、琴子は以前よりはるかに素敵な相手と巡り会います。
それでも琴子は、「たとえ自分を想ってのことでも、人の幸せを妨害する人のそばにはいられない」と、小夜子との決別を選びます。
大好きだから、守りたい。
大好きだから、そばにいてほしい。
だからこそ、大切な人を欺いてしまった――。
そんな地縛霊の歪んだ優しさが、やがて琴子に眠っていた“選ばれた者だけが持つ力”の覚醒と、一国の皇子との縁談へとつながっていきます。
無能と蔑まれ、すべてを奪われた双子の姉が、本当の力と自分を愛してくれる人を手に入れる。
少し切なくて、最後は幸せな、和風ファンタジー×逆転シンデレラストーリーです。



