リーガルウェポン

 かつて最終兵器と呼ばれた少年。天使のような無垢な笑みを浮かべながら、切れ味抜群の言葉で相手の急所を容赦なく突く。
 その彼が、自分と肩を並べるまでに成長した。
 ブロンドの髪も翡翠色の瞳も、父譲りだ。二十三歳になった玲を見ていると、若い頃のエディを思い出す。

「あの、佐々木先生」
「何?」
「僕、夢みたいです」
「ああ、それは僕も同じだよ」
「ですね」

 柔和な笑みは、幼い頃から変わらない。天使と呼ばれた人懐っこさと、あまりに純粋なまなざし。すべての人の心を浄化してしまいそうなほどの破壊力に満ちた、彼の笑顔。見目麗しい父の華やかさだけではない。彼は、とにかく人の懐に入るのがうまい。社交的で誰ともすぐに打ち解けられる。
 だが、その笑顔以上に破壊力抜群だったものがある。

 彼の――「言動」だった。


 悪気なし。

 悪意なし。

 遠慮なし。


 からの、言葉ミサイル。


 子どもの頃の彼は、無敵だった。

 姉の元彼とその両親に笑顔でとどめを刺し、

 幼なじみの律の父・亞紗斗の元カノを名乗るストーカー女には、物乞いとおばあちゃん扱いをし、壊滅的な裁縫スキルで制作したワンピース攻撃で撃退。

 高校生の頃には、告白してきた隣のクラスの女子生徒の名前も顔も覚えておらず、知らない人とは付き合えないと笑顔で断り撃沈させる。


 魅力に溢れた少年は、歳を重ねるごとに大量破壊兵器と化していた。
 しかし、自分の「言葉」が人に与える破壊力を理解し始めた頃から――。

 彼は、持ち前だった切れ味抜群の言葉を「封印」した。