リーガルウェポン

 あれから、十数年。

 神城玲、二十三歳。

「本日からお世話になります。神城玲です。よろしくお願いいたします」

 日下部法律事務所のオフィスで、新任の弁護士と事務スタッフが一人ずつ自己紹介をしていた。

 佐々木武蔵は、その様子を感慨深く見守っていた。

「玲、大きくなったな」


 玲の父、エディとの出会いは、武蔵が浪人生だった頃。
 エディは当時、ルミエール美容専門学校に通う一年生で美容師の卵だった。彼と同じ専門学校に通う、山本健太という共通の知人に無理矢理誘われた合コン会場で出会った。

 武蔵が妻の玲美と出会えたのも、エディが彼の大学デビューの後押しをしたのがきっかけだ。四年半の交際を実らせ結婚し、武蔵が法科大学院へ進んだ後は、妻の玲美が働きながら家計を支えてくれた。翌年には、一人娘の美琴も生まれた。
 あれから長い年月が過ぎ、武蔵は五十歳を迎えた。
 そして今日――親友の息子である玲を、今度は一人の弁護士として指導する立場になった。

「むさ……、いや、佐々木先生」
「玲」
「今日から、よろしくお願いします」
「ああ、こちらこそ」