■
その日の体育はサッカーだった。高校に入学してから初めて2クラス合同で行う授業に少し皆が浮足立っていた。自分の教室に入ってクラスメイトの顔を見てもまだ安心できるとは言えないのに、慣れない顔が2倍になってしまうのだ。高校生の本能として不必要に騒ぎ立ててしまうのも仕方なかった。
教師の合図で全員が整列する。身体測定がまだだったあの頃は背の順なんてものはなくて、名簿の順で並ぶよう伝えられた。
春日井の名は、前から数えた方が早い。教師も群れから頭ひとつ飛び抜けた男と存外近いところで目が合ってしまったのがおかしかったようで、「お前やっぱでかいな」と笑われてしまった。
後ろで少しだけ高い男の話し声がする。
「オレ、これ寝ててもバレねぇよな」
「体育で寝るとか頭イカれてんだろ。蹴飛ばすぞ」
くすくすと笑い合う声たちは仲良さげに冗談を飛ばし合っている。入学してそれほど時間は経っていないのにもうそんなにも仲良くなれたのかと感心する。間違いなく俺のことを話しているけれど、そこに果敢に混ざりに行く勇気は俺にはなかったし、必要性も感じていなかった。
一通りボールを使った準備運動が終わると、生徒はいくつかのチームに分けられた。生徒それぞれの実力もわからないし、なにせそれほど真剣なゲームでもないとのことで、これまた名簿の順で11人ごとの塊を作っていく。
同じクラスの人たちとチームになり、隣のクラスと戦うゲーム。オフサイドなどのルールは無視して、とにかくボールを蹴ってゴールに入れろ、ラフプレーは即退場。教師から伝えられたルールはそれだけだった。
試合に出るチームは教師からビブスを渡される。俺たちは黄色のものを渡されたけれど、人によってはほとんどオレンジ色だったりやけに脱色されて白に近くなっていたり、至る所からほつれた糸が出ていたり数字の部分が剥がれていたり。
煮込めば歴代の先輩たちの出汁が出てきそうなビブスにさっと袖を通し、グラウンドに立つ。
試合開始のホイッスルが鳴ると、少し下の方でたくさんの黒い頭がぴょこぴょこと動く。こんなことならキーパーを希望しておけばよかった。もともと球技があまり得意ではない上に、他の人たちも休み時間にサッカーをしていた程度の実力らしく、ボールのコントロールが良いとは言えない。
自分より小さいものが、不規則に動く。チームメイトが相手に聞こえないように小さな声で出し合う合図は、少し離れた場所にある俺の耳には入ってこない。
「春日井! パス!」
チームメンバーとして参加することをほとんど諦めていたとき、突然名前を呼ばれて足元にボールが飛んできた。受け止めたはいいものの、このボールをどう扱えばいいのかが全くわからない。
パスを出せばいいのか、それともこのままゴールへ運べば良いのか。パスをくれと手を俺に向けて挙げているチームメイトもいれば、ゴールを指さして「行けー!」と叫んでいるチームメイトもいる。
ここでクラスの人間とほとんど話してこなかった弊害が出てしまった。いざという時に誰の言うことを聞けば一番丸く収まるのかがわからない。
悩んでいる間にも、相手チームのメンバーがボールを奪いにやってくる。ゴールめがけてボールを蹴っても上手くシュートできる自信がなかったから味方にパスを出そうとしたその時だった。
右側の脇の下あたりから、人影が一瞬のうちに視界に入り込んできた。
ビブスの色は、黄色。
ボールを蹴るために振りかぶった俺の脚に、突然割り込んできた味方の脚が絡まる。バランスを崩したそいつはそのまま前方に倒れ込み、さらに運悪くボールを巻き込んで地面に倒れていった。
なんとか受け身を取って頭部の直撃は免れたようだが、男は顔を顰めて荒い呼吸をしながら右足首を抑えている。
「っっ……」
「木爪! 大丈夫か!」
駆け寄ってきた教師が呼びかけるのを聞いて、俺が怪我をさせた男の名は木爪ということを知った。周りよりも少し小柄なそいつは、背中を丸めてひたすら肩で息をしている。
捲られたジャージの裾からは赤くなった足首が覗いていた。
「お、俺、保健室連れていきます」
「頼む。折れてはないと思うが……」
俺が保健室へ男を連れて行く旨を伝えると周囲で野次馬をしていた人たちが次々に散っていった。どうせ立ち上がることはできないと思い、木爪と呼ばれた人物の腕を多少強引に取り、そのまま背中に担ぐ。
動かすと痛かったのか、耳元で掠れた小さなうめき声が聞こえた。
さすがに授業中だ、保健室へ寄り付く人間はいない。サボりが蔓延っている学校でもないため、あたりは静かだった。
養護教諭在籍中と書かれた札を確認し、3回ノックをしたあと建付けの悪い引き戸を開ける。
「すんません、けが人です。1年1組の木爪ってやつなんですけど、体育中に足首を」
捻挫か骨折かの判断はつかなかったため、そこで言葉を切る。落ち着いた年配の女性養護教諭が木爪をベッドに寝かせるよう言い、指示に従う。
「いい、座れる」
受傷直後よりは痛みが引いたのか、木爪が言葉を発した。変声期後くらいの少し不安定な、まだ高さの残る中低音。授業開始前に俺の後ろで聞こえた話し声はこいつのものだったのかと合点がいく。
養護教諭による判断は、腫れの具合と痛みの加減、足首の動きから、骨折はしていないが決して軽傷とは言えない捻挫だろうとのことだった。
「親御さんに連絡して、病院で一度診てもらった方がいいと思うけど」
「いいです。痛いけど別に動くし。折れてても寝てたらくっつきますよ」
取り繕っているのが丸わかりなくらい不自然な笑顔。気丈にそう言うも、やっぱり痛むのか時折顔を歪めながら木爪は口を動かし続ける。
「あの、ごめん。俺のせいで」
「んぁ? いや違うって! お前がボール持ったままちんたらしてるのに我慢ならんくて声もかけずに奪おうとしたオレが悪かったんだよ」
養護教諭に湿布を貼ってもらいながら早口で捲し立て、ニカっと笑った。つまるところ、俺がボールをどうするかの判断を素早くしていたらこいつが怪我をする羽目にはならなかったということじゃないか。自分の不甲斐なさと勝手にでかくなった身体に腹が立って、ぐっと手を握りしめる。
「ギリ立てる、かな? 今日の体育はもう見学するわ。せんせー、見学届書いて欲しいデス」
「そうね。というか、本当に病院行かなくていいの?」
「いいのいいの。行ってもどうせ湿布出されて終わりだって」
体育を見学するための書類を作成してもらっている間、木爪の額から汗が流れた。昼に差し掛かり日が照り始めて、じわじわと室温が上がってきている。窓から差し込む光の筋が、部屋の隅のホコリを懸命に照らしている。
「はい。しばらく安静にしてなさいね」
「ありがとうございま〜す」
恭しく見学届を受け取った木爪が立ち上がろうとしてなにかに気づいたような表情でこちらを見る。
「あー、春日井、だっけ。ごめん、おぶってくんね?」
ワリ、と顔の前で手を合わせてちらりと赤い舌を出す。
「……いいよ」
木爪の前に背を向けてしゃがみ込むと、細い腕が肩口から伸びてくる。上半身がとす、とのしかかってきた。
「遠慮せずに全体重かけていいぞ」
「……バカ。かけてるわ。超脱力してるっつの」
眼前にだらんと垂れている指は細い。男子高校生の平均体重がどれくらいかはわからないけれど、こいつは明らかに軽すぎる。
「お前がでかいんだよ」
耳の横で囁かれた拗ねたような声は少し掠れていて、馬鹿騒ぎしているときより熱を帯びて低い。ぞわりと脊髄を撫でられたような動揺が走り、ひとつ大きな息を吐いてから立ち上がった。
「うお、でけぇ!」
さっきまでの弱り様はどこへ行ったのやら、遊園地のアトラクションに乗っている子どものようにはしゃぐ木爪を養護教諭が優しく諭す。
「こらこら。はしゃいじゃダメだって。春日井くん、しっかり面倒見ててあげてね」
「……はい」
依弦の怪我から5日、体育の授業中に捻挫をした木爪依弦が春日井泰斗の世話を受けながら生活しているということはクラス中の人たちが知るところとなった。事あるごとに「泰斗!」と大きな声で呼びつけられ、移動教室の時は依弦を背負って廊下を歩く。
「木爪、また春日井の背中乗ってんの。猿じゃん」
「んだとテメー! お前らは黙って地面歩いてろ!」
「お前はいつからそんなに偉くなったんだよ。落としてやってもいいんだぞ」
「おう! やってやれ春日井!」
俺の背中でクラスメイトとぎゃいぎゃい喧嘩をする依弦にも慣れた。一部の女子からは大変だね、と言いたげな視線を向けられる。決して大きな声では言えないが、実は結構楽しかったのだ。
依弦は誰とでもすぐに仲良くなれる。話したことのない人間にも気さくに話しかけ、共通点を見つけていとも容易く相手の懐に入り込んでしまう。あまりにも快適に話せるものだから、相手は自分はコミュ力が高くて面白い人間だと錯覚してしまうほどだ。
これだけ近いところにいればさすがに俺もクラスメイトと話すようになり、あっという間にクラスメイトの顔と名前が一致するようになった。
「泰斗って話せばふつーにおもしろいのになんでぶすっとしてんだよ」
「ぶすっとはしてねぇよ。もとからこういう顔だ」
「損だねぇ。オレみたいにきゅるきゅるしてろよ」
「デカブツがきゅるきゅるしてんのさすがにきもいだろ」
「それもそうだな」
しかもお前は大してきゅるきゅるはしていない。世間的にみれば顔の造形はまぁ綺麗なのかもしれないが、日頃から何かを企んでいるような胡散臭い表情をあまりにもしすぎている。それを抜きにしても、男子高校生の自認が可愛い系アイドルなのはどうかしている。
口を開けば文句を言い憎まれ口を叩いているが、依弦を嫌う人は少ない。こいつはちゃんと人の話を聞き、受け止めた上で関係値を考慮して暴言を吐いている。本当に仲良くない人に対してはお綺麗な笑顔を浮かべるだけなのだ。
「おーい! いづー!」
昼休み、自分の席で弁当を食べていると廊下からこちらに向けて呼びかける男子の声がした。開けられた廊下側の窓から覗く、少し長い黒髪にいかにも人の良さそうな垂れ目。見たことのない顔に、聞き慣れない呼び名。先に弁当を食べ終えて机に突っ伏していた依弦が驚くほど俊敏な動作で顔をあげて、瞬く間に明るい笑顔になる。
「きりちゃんじゃん!」
きりちゃんと呼ばれた男子は扉のところでひらひらと手を振っていて、教室の中に入ってこようとはしない。トラブル防止のためにむやみに他教室に入ってこないように、とのルールが学校全体に敷かれており、特に罰則等はないが皆がそれを守っている。見えないバリアに阻まれた男子が依弦に注ぎ続ける視線の意味は、廊下に出てきてくれということなのだろう。
依弦が立ち上がり、一歩を踏み出す。
あまりに自然な動作に、ワンテンポ反応が遅れてしまった。
「おいお前、足痛めてんんだろ」
「……あ、そうだった」
自分の怪我のことを忘れるなんてどうかしている。普段からちゃらんぽらんな奴だとは思っていたが、ここまで抜けているとは思わなかった。右足で軽く地面を踏みしめた後に「うん、やっぱまだ痛いわ」と素直に椅子に座り直す。
「ごめんきりちゃん、オレいま足怪我しててさ。ここまで来てくんない?」
「え、大丈夫なん? いつ怪我したの?」
桐本というらしい男子は依弦の小学校からの幼馴染で、この高校に入学したのはお互いに知っていたけどタイミングを逃して会えずにいたらしい。
桐本と話している間、依弦は俺を輪に入れようとしてこない。まるで空気になってしまったような感覚と、強烈な疎外感。いつも自分で話しかける努力もせず依弦に便乗していただけの人間が一丁前に寂しさを感じているなんて、あまりにも馬鹿げている。
「おい、どこ行くんだよ」
弁当を食べ終わって席を立つと、依弦が俺の腕を掴んだ。
「どこって、トイレ行くだけだよ」
「オレに黙ってどっか行くつもり?」
「なんでいちいちお前の許可がいるんだよ。桐本と話してるんだから別に俺いらねぇだろ」
半ば振り切るように依弦の手を払い除けてその場を立ち去ろうとするけれど、追いかけるようにさらに強い力で手首を掴まれてしまう。細い指が食い込んで、関節がぴき、と音を立てた。
「わり、きりちゃん。オレもトイレ行ってくるからここでちょっと待ってて」
掴まれた腕を下に引かれ、強引に屈ませられた背中に依弦が飛び乗る。この行動にクラスの人間は何も驚かないが、桐本は目を瞠って慌てて制止を入れてきた。
「ちょ、いづ、危ないって」
「だいじょーぶだって。こいつデカいから」
背中にぴたりとくっついた熱に、乱れていた心が急激に落ち着くのを感じる。居場所がなかった身体に、正解を与えられたようで。
人がまばらな廊下を黙って歩く。依弦も背中の上で何も言わずに、俺の目の前に腕をぷらんと垂らして運ばれるがままになっている。
「おまえさぁ」
桐本と話していたときのようなハリのある声はどこへやら、眠そうなとろけた声が耳に流れ込んでくる。
「さみしかったん?」
嘲笑うような、からかうような調子。猫の舌のようなざらついた甘い声で人の心を舐めて、小さな傷を付ける。
「なわけねぇだろ自惚れんのも大概にしろ」
「泰斗くぅん、早口になってるよー」
ひひ、と笑い、俺の右耳が軽くつねられる。わざと爪を立てられて、耳たぶにじんわりとした痛みが残った。
■
バチ、バチ、と紙を綴じる音がする。できればあの時のことはもう忘れたい。
「ま、色々あってさ! 以来仲良しってわけ! な? 泰斗」
「そうだな」
最近忘れかけていたあの出来事を思い出して、若干の居心地の悪さが身体を這う。あの時から依弦と一緒にいるのが当たり前になって、無茶振りや、自由奔放な依弦のストッパーになることにも慣れてしまった。
吉川さんは何かを感じ取ったのか俺たちの話にそれ以上踏み込んでくることもなく、無難な愛想笑いを浮かべて淡々とホッチキス留めをしている。この話題に関しては、これくらいの反応が一番ありがたい。
「先生たちも木爪くんの面倒見てくれてる春日井くんには頭上がらなさそうだもんね〜」
「依弦が何かしたら真っ先に俺に声かかるの、どうにかなんねぇかなとは思ってるけどな」
仲の良い友人というより、保護者と子どものような関係な気もする。依弦が遅刻してきたときは、何か事情を知らないかと尋ねられ、課題をやってこなかった日にはちゃんとやるようお前からも言っておいてくれと言われる。依弦の世話をしたところで俺になにか利益がもたらされるといったものではないのに、よくやっている。
別に、頼られるのに悪い気はしないが。
「っし、終わったし帰るか」
「ありがとう。助かったよ」
最後の一部にばちん! とホッチキスをとめ、依弦が大きく伸びをする。
プリントの束を教卓の中にしまい込み、俺たちは各々、カバンを持って教室を出た。最初は少し残って勉強しようと思っていたけれど、想定していたよりも作業が長引いてしまい、もう諦めて帰宅することにした。
吉川さんと俺たちは家が逆方向らしく、下駄箱で靴を履いて、彼女は反対側に歩いて行った。
まだ17時。
校舎から出ると、空に水色とオレンジ色の境目ができていた。
「お前さ、」
学校を出てすぐ、舗装されていない砂利道を歩き出した時、いつもより低い依弦の声が耳を突く。
「ほんとデカいよな」
「……は?」
依弦はこういう人間だ。いつも突然で、俺の予想なんか遥かに飛び越えてくる。脈絡のない話題についていくのに必死になっても、最初からそこに脈絡なんて存在しないことが多々ある。
「お前がオレみたいにチビだったらよかったのに」
「お前が俺みたいにデカかったらよかったんだろ」
見たものをそのまま声に出す癖のある依弦への対処法は、もうわかっている。特に何も考えていないんだから、こちらも特に何も考えず返事をすればいい。難しく考えたら負けなんだと、関わり始めた頃に悟った。
俺たちが通学路としている道は極端に人が少ない。最低限舗装された道に迫りくる民家。細い住民用道路に、じゃりじゃりとアスファルトを踏みしめる音だけが響く。
「……吉川の手、かわいかった?」
こんな静かな道で、聞き逃すはずがない。20センチ下にある顔は見えなくて、どういう表情でその言葉が発されたかがわからない。いつも元気に大きな声で話す依弦とは別人のような落ち着いた調子は、俺の思考を強制的に停止させる。
「まぁ、女子だから。小さかった」
「答えになってねぇよ」
「知らね。つか、んなこと俺に訊いてどうすんだよ。吉川さんのこと狙ってんの?」
クラスの中心にいる明るい吉川さんと、同じく誰にでもフレンドリーな依弦。ふたりが俺の知らないところで仲良くしていても、全く不思議なことではない。上澄み同士友情を育んで恋愛の芽が発展しかけていたなら、さっきの俺は空気の読めないとんだお邪魔虫だったに違いない。
「俺、クラスの恋愛事情とかよくわかんねぇ。悪かったよ」
女子と関わることはほとんどない。デカいから悪目立ちして、向こうから話しかけられることはあれど、それ以上俺が相手に対して踏み込むことはない。色恋だの他人の進路だの、単純に興味がないのと、依弦の相手で手いっぱいなのが大きい。
誰かと話していてもセンサーをつけているのかと思うほどの速度で依弦がやってくる。この状況でどうやって女子と甘い恋愛ができるっていうんだ。
「お前ってそういうやつだよなぁ。いいよ、もう。じゃ」
気づいた時には俺の家の前まで来ていた。家から近かったという理由だけで決めた学校からの下校時間は、短いに決まっている。
「おう、じゃあな」
帰りの挨拶はそっけない。女子みたいに明るく手を振りながら何度も別れの言葉を紡ぐほどお世辞に満ちた関係でもないし、どうせ明日になれば嫌でもお互い顔を合わせる。
それにしても、依弦の家はどこなんだろう。かれこれ1年半ほど一緒にいるけれど、あいつの家に行ったことがないどころか、場所すら知らない。近いのか、遠いのか。それすら何度訊いてもはぐらかされるだけだった。
いつもはさっさと家に入るのに、今日は離れていく依弦を目で追ってしまっていた。心なしか俺といる時より歩みはゆっくりで、芯のある歩き方をしている。
俺がいなくても依弦が自分の足で立って歩いている。
そんな当たり前なことが不思議でならなかった。
その日の体育はサッカーだった。高校に入学してから初めて2クラス合同で行う授業に少し皆が浮足立っていた。自分の教室に入ってクラスメイトの顔を見てもまだ安心できるとは言えないのに、慣れない顔が2倍になってしまうのだ。高校生の本能として不必要に騒ぎ立ててしまうのも仕方なかった。
教師の合図で全員が整列する。身体測定がまだだったあの頃は背の順なんてものはなくて、名簿の順で並ぶよう伝えられた。
春日井の名は、前から数えた方が早い。教師も群れから頭ひとつ飛び抜けた男と存外近いところで目が合ってしまったのがおかしかったようで、「お前やっぱでかいな」と笑われてしまった。
後ろで少しだけ高い男の話し声がする。
「オレ、これ寝ててもバレねぇよな」
「体育で寝るとか頭イカれてんだろ。蹴飛ばすぞ」
くすくすと笑い合う声たちは仲良さげに冗談を飛ばし合っている。入学してそれほど時間は経っていないのにもうそんなにも仲良くなれたのかと感心する。間違いなく俺のことを話しているけれど、そこに果敢に混ざりに行く勇気は俺にはなかったし、必要性も感じていなかった。
一通りボールを使った準備運動が終わると、生徒はいくつかのチームに分けられた。生徒それぞれの実力もわからないし、なにせそれほど真剣なゲームでもないとのことで、これまた名簿の順で11人ごとの塊を作っていく。
同じクラスの人たちとチームになり、隣のクラスと戦うゲーム。オフサイドなどのルールは無視して、とにかくボールを蹴ってゴールに入れろ、ラフプレーは即退場。教師から伝えられたルールはそれだけだった。
試合に出るチームは教師からビブスを渡される。俺たちは黄色のものを渡されたけれど、人によってはほとんどオレンジ色だったりやけに脱色されて白に近くなっていたり、至る所からほつれた糸が出ていたり数字の部分が剥がれていたり。
煮込めば歴代の先輩たちの出汁が出てきそうなビブスにさっと袖を通し、グラウンドに立つ。
試合開始のホイッスルが鳴ると、少し下の方でたくさんの黒い頭がぴょこぴょこと動く。こんなことならキーパーを希望しておけばよかった。もともと球技があまり得意ではない上に、他の人たちも休み時間にサッカーをしていた程度の実力らしく、ボールのコントロールが良いとは言えない。
自分より小さいものが、不規則に動く。チームメイトが相手に聞こえないように小さな声で出し合う合図は、少し離れた場所にある俺の耳には入ってこない。
「春日井! パス!」
チームメンバーとして参加することをほとんど諦めていたとき、突然名前を呼ばれて足元にボールが飛んできた。受け止めたはいいものの、このボールをどう扱えばいいのかが全くわからない。
パスを出せばいいのか、それともこのままゴールへ運べば良いのか。パスをくれと手を俺に向けて挙げているチームメイトもいれば、ゴールを指さして「行けー!」と叫んでいるチームメイトもいる。
ここでクラスの人間とほとんど話してこなかった弊害が出てしまった。いざという時に誰の言うことを聞けば一番丸く収まるのかがわからない。
悩んでいる間にも、相手チームのメンバーがボールを奪いにやってくる。ゴールめがけてボールを蹴っても上手くシュートできる自信がなかったから味方にパスを出そうとしたその時だった。
右側の脇の下あたりから、人影が一瞬のうちに視界に入り込んできた。
ビブスの色は、黄色。
ボールを蹴るために振りかぶった俺の脚に、突然割り込んできた味方の脚が絡まる。バランスを崩したそいつはそのまま前方に倒れ込み、さらに運悪くボールを巻き込んで地面に倒れていった。
なんとか受け身を取って頭部の直撃は免れたようだが、男は顔を顰めて荒い呼吸をしながら右足首を抑えている。
「っっ……」
「木爪! 大丈夫か!」
駆け寄ってきた教師が呼びかけるのを聞いて、俺が怪我をさせた男の名は木爪ということを知った。周りよりも少し小柄なそいつは、背中を丸めてひたすら肩で息をしている。
捲られたジャージの裾からは赤くなった足首が覗いていた。
「お、俺、保健室連れていきます」
「頼む。折れてはないと思うが……」
俺が保健室へ男を連れて行く旨を伝えると周囲で野次馬をしていた人たちが次々に散っていった。どうせ立ち上がることはできないと思い、木爪と呼ばれた人物の腕を多少強引に取り、そのまま背中に担ぐ。
動かすと痛かったのか、耳元で掠れた小さなうめき声が聞こえた。
さすがに授業中だ、保健室へ寄り付く人間はいない。サボりが蔓延っている学校でもないため、あたりは静かだった。
養護教諭在籍中と書かれた札を確認し、3回ノックをしたあと建付けの悪い引き戸を開ける。
「すんません、けが人です。1年1組の木爪ってやつなんですけど、体育中に足首を」
捻挫か骨折かの判断はつかなかったため、そこで言葉を切る。落ち着いた年配の女性養護教諭が木爪をベッドに寝かせるよう言い、指示に従う。
「いい、座れる」
受傷直後よりは痛みが引いたのか、木爪が言葉を発した。変声期後くらいの少し不安定な、まだ高さの残る中低音。授業開始前に俺の後ろで聞こえた話し声はこいつのものだったのかと合点がいく。
養護教諭による判断は、腫れの具合と痛みの加減、足首の動きから、骨折はしていないが決して軽傷とは言えない捻挫だろうとのことだった。
「親御さんに連絡して、病院で一度診てもらった方がいいと思うけど」
「いいです。痛いけど別に動くし。折れてても寝てたらくっつきますよ」
取り繕っているのが丸わかりなくらい不自然な笑顔。気丈にそう言うも、やっぱり痛むのか時折顔を歪めながら木爪は口を動かし続ける。
「あの、ごめん。俺のせいで」
「んぁ? いや違うって! お前がボール持ったままちんたらしてるのに我慢ならんくて声もかけずに奪おうとしたオレが悪かったんだよ」
養護教諭に湿布を貼ってもらいながら早口で捲し立て、ニカっと笑った。つまるところ、俺がボールをどうするかの判断を素早くしていたらこいつが怪我をする羽目にはならなかったということじゃないか。自分の不甲斐なさと勝手にでかくなった身体に腹が立って、ぐっと手を握りしめる。
「ギリ立てる、かな? 今日の体育はもう見学するわ。せんせー、見学届書いて欲しいデス」
「そうね。というか、本当に病院行かなくていいの?」
「いいのいいの。行ってもどうせ湿布出されて終わりだって」
体育を見学するための書類を作成してもらっている間、木爪の額から汗が流れた。昼に差し掛かり日が照り始めて、じわじわと室温が上がってきている。窓から差し込む光の筋が、部屋の隅のホコリを懸命に照らしている。
「はい。しばらく安静にしてなさいね」
「ありがとうございま〜す」
恭しく見学届を受け取った木爪が立ち上がろうとしてなにかに気づいたような表情でこちらを見る。
「あー、春日井、だっけ。ごめん、おぶってくんね?」
ワリ、と顔の前で手を合わせてちらりと赤い舌を出す。
「……いいよ」
木爪の前に背を向けてしゃがみ込むと、細い腕が肩口から伸びてくる。上半身がとす、とのしかかってきた。
「遠慮せずに全体重かけていいぞ」
「……バカ。かけてるわ。超脱力してるっつの」
眼前にだらんと垂れている指は細い。男子高校生の平均体重がどれくらいかはわからないけれど、こいつは明らかに軽すぎる。
「お前がでかいんだよ」
耳の横で囁かれた拗ねたような声は少し掠れていて、馬鹿騒ぎしているときより熱を帯びて低い。ぞわりと脊髄を撫でられたような動揺が走り、ひとつ大きな息を吐いてから立ち上がった。
「うお、でけぇ!」
さっきまでの弱り様はどこへ行ったのやら、遊園地のアトラクションに乗っている子どものようにはしゃぐ木爪を養護教諭が優しく諭す。
「こらこら。はしゃいじゃダメだって。春日井くん、しっかり面倒見ててあげてね」
「……はい」
依弦の怪我から5日、体育の授業中に捻挫をした木爪依弦が春日井泰斗の世話を受けながら生活しているということはクラス中の人たちが知るところとなった。事あるごとに「泰斗!」と大きな声で呼びつけられ、移動教室の時は依弦を背負って廊下を歩く。
「木爪、また春日井の背中乗ってんの。猿じゃん」
「んだとテメー! お前らは黙って地面歩いてろ!」
「お前はいつからそんなに偉くなったんだよ。落としてやってもいいんだぞ」
「おう! やってやれ春日井!」
俺の背中でクラスメイトとぎゃいぎゃい喧嘩をする依弦にも慣れた。一部の女子からは大変だね、と言いたげな視線を向けられる。決して大きな声では言えないが、実は結構楽しかったのだ。
依弦は誰とでもすぐに仲良くなれる。話したことのない人間にも気さくに話しかけ、共通点を見つけていとも容易く相手の懐に入り込んでしまう。あまりにも快適に話せるものだから、相手は自分はコミュ力が高くて面白い人間だと錯覚してしまうほどだ。
これだけ近いところにいればさすがに俺もクラスメイトと話すようになり、あっという間にクラスメイトの顔と名前が一致するようになった。
「泰斗って話せばふつーにおもしろいのになんでぶすっとしてんだよ」
「ぶすっとはしてねぇよ。もとからこういう顔だ」
「損だねぇ。オレみたいにきゅるきゅるしてろよ」
「デカブツがきゅるきゅるしてんのさすがにきもいだろ」
「それもそうだな」
しかもお前は大してきゅるきゅるはしていない。世間的にみれば顔の造形はまぁ綺麗なのかもしれないが、日頃から何かを企んでいるような胡散臭い表情をあまりにもしすぎている。それを抜きにしても、男子高校生の自認が可愛い系アイドルなのはどうかしている。
口を開けば文句を言い憎まれ口を叩いているが、依弦を嫌う人は少ない。こいつはちゃんと人の話を聞き、受け止めた上で関係値を考慮して暴言を吐いている。本当に仲良くない人に対してはお綺麗な笑顔を浮かべるだけなのだ。
「おーい! いづー!」
昼休み、自分の席で弁当を食べていると廊下からこちらに向けて呼びかける男子の声がした。開けられた廊下側の窓から覗く、少し長い黒髪にいかにも人の良さそうな垂れ目。見たことのない顔に、聞き慣れない呼び名。先に弁当を食べ終えて机に突っ伏していた依弦が驚くほど俊敏な動作で顔をあげて、瞬く間に明るい笑顔になる。
「きりちゃんじゃん!」
きりちゃんと呼ばれた男子は扉のところでひらひらと手を振っていて、教室の中に入ってこようとはしない。トラブル防止のためにむやみに他教室に入ってこないように、とのルールが学校全体に敷かれており、特に罰則等はないが皆がそれを守っている。見えないバリアに阻まれた男子が依弦に注ぎ続ける視線の意味は、廊下に出てきてくれということなのだろう。
依弦が立ち上がり、一歩を踏み出す。
あまりに自然な動作に、ワンテンポ反応が遅れてしまった。
「おいお前、足痛めてんんだろ」
「……あ、そうだった」
自分の怪我のことを忘れるなんてどうかしている。普段からちゃらんぽらんな奴だとは思っていたが、ここまで抜けているとは思わなかった。右足で軽く地面を踏みしめた後に「うん、やっぱまだ痛いわ」と素直に椅子に座り直す。
「ごめんきりちゃん、オレいま足怪我しててさ。ここまで来てくんない?」
「え、大丈夫なん? いつ怪我したの?」
桐本というらしい男子は依弦の小学校からの幼馴染で、この高校に入学したのはお互いに知っていたけどタイミングを逃して会えずにいたらしい。
桐本と話している間、依弦は俺を輪に入れようとしてこない。まるで空気になってしまったような感覚と、強烈な疎外感。いつも自分で話しかける努力もせず依弦に便乗していただけの人間が一丁前に寂しさを感じているなんて、あまりにも馬鹿げている。
「おい、どこ行くんだよ」
弁当を食べ終わって席を立つと、依弦が俺の腕を掴んだ。
「どこって、トイレ行くだけだよ」
「オレに黙ってどっか行くつもり?」
「なんでいちいちお前の許可がいるんだよ。桐本と話してるんだから別に俺いらねぇだろ」
半ば振り切るように依弦の手を払い除けてその場を立ち去ろうとするけれど、追いかけるようにさらに強い力で手首を掴まれてしまう。細い指が食い込んで、関節がぴき、と音を立てた。
「わり、きりちゃん。オレもトイレ行ってくるからここでちょっと待ってて」
掴まれた腕を下に引かれ、強引に屈ませられた背中に依弦が飛び乗る。この行動にクラスの人間は何も驚かないが、桐本は目を瞠って慌てて制止を入れてきた。
「ちょ、いづ、危ないって」
「だいじょーぶだって。こいつデカいから」
背中にぴたりとくっついた熱に、乱れていた心が急激に落ち着くのを感じる。居場所がなかった身体に、正解を与えられたようで。
人がまばらな廊下を黙って歩く。依弦も背中の上で何も言わずに、俺の目の前に腕をぷらんと垂らして運ばれるがままになっている。
「おまえさぁ」
桐本と話していたときのようなハリのある声はどこへやら、眠そうなとろけた声が耳に流れ込んでくる。
「さみしかったん?」
嘲笑うような、からかうような調子。猫の舌のようなざらついた甘い声で人の心を舐めて、小さな傷を付ける。
「なわけねぇだろ自惚れんのも大概にしろ」
「泰斗くぅん、早口になってるよー」
ひひ、と笑い、俺の右耳が軽くつねられる。わざと爪を立てられて、耳たぶにじんわりとした痛みが残った。
■
バチ、バチ、と紙を綴じる音がする。できればあの時のことはもう忘れたい。
「ま、色々あってさ! 以来仲良しってわけ! な? 泰斗」
「そうだな」
最近忘れかけていたあの出来事を思い出して、若干の居心地の悪さが身体を這う。あの時から依弦と一緒にいるのが当たり前になって、無茶振りや、自由奔放な依弦のストッパーになることにも慣れてしまった。
吉川さんは何かを感じ取ったのか俺たちの話にそれ以上踏み込んでくることもなく、無難な愛想笑いを浮かべて淡々とホッチキス留めをしている。この話題に関しては、これくらいの反応が一番ありがたい。
「先生たちも木爪くんの面倒見てくれてる春日井くんには頭上がらなさそうだもんね〜」
「依弦が何かしたら真っ先に俺に声かかるの、どうにかなんねぇかなとは思ってるけどな」
仲の良い友人というより、保護者と子どものような関係な気もする。依弦が遅刻してきたときは、何か事情を知らないかと尋ねられ、課題をやってこなかった日にはちゃんとやるようお前からも言っておいてくれと言われる。依弦の世話をしたところで俺になにか利益がもたらされるといったものではないのに、よくやっている。
別に、頼られるのに悪い気はしないが。
「っし、終わったし帰るか」
「ありがとう。助かったよ」
最後の一部にばちん! とホッチキスをとめ、依弦が大きく伸びをする。
プリントの束を教卓の中にしまい込み、俺たちは各々、カバンを持って教室を出た。最初は少し残って勉強しようと思っていたけれど、想定していたよりも作業が長引いてしまい、もう諦めて帰宅することにした。
吉川さんと俺たちは家が逆方向らしく、下駄箱で靴を履いて、彼女は反対側に歩いて行った。
まだ17時。
校舎から出ると、空に水色とオレンジ色の境目ができていた。
「お前さ、」
学校を出てすぐ、舗装されていない砂利道を歩き出した時、いつもより低い依弦の声が耳を突く。
「ほんとデカいよな」
「……は?」
依弦はこういう人間だ。いつも突然で、俺の予想なんか遥かに飛び越えてくる。脈絡のない話題についていくのに必死になっても、最初からそこに脈絡なんて存在しないことが多々ある。
「お前がオレみたいにチビだったらよかったのに」
「お前が俺みたいにデカかったらよかったんだろ」
見たものをそのまま声に出す癖のある依弦への対処法は、もうわかっている。特に何も考えていないんだから、こちらも特に何も考えず返事をすればいい。難しく考えたら負けなんだと、関わり始めた頃に悟った。
俺たちが通学路としている道は極端に人が少ない。最低限舗装された道に迫りくる民家。細い住民用道路に、じゃりじゃりとアスファルトを踏みしめる音だけが響く。
「……吉川の手、かわいかった?」
こんな静かな道で、聞き逃すはずがない。20センチ下にある顔は見えなくて、どういう表情でその言葉が発されたかがわからない。いつも元気に大きな声で話す依弦とは別人のような落ち着いた調子は、俺の思考を強制的に停止させる。
「まぁ、女子だから。小さかった」
「答えになってねぇよ」
「知らね。つか、んなこと俺に訊いてどうすんだよ。吉川さんのこと狙ってんの?」
クラスの中心にいる明るい吉川さんと、同じく誰にでもフレンドリーな依弦。ふたりが俺の知らないところで仲良くしていても、全く不思議なことではない。上澄み同士友情を育んで恋愛の芽が発展しかけていたなら、さっきの俺は空気の読めないとんだお邪魔虫だったに違いない。
「俺、クラスの恋愛事情とかよくわかんねぇ。悪かったよ」
女子と関わることはほとんどない。デカいから悪目立ちして、向こうから話しかけられることはあれど、それ以上俺が相手に対して踏み込むことはない。色恋だの他人の進路だの、単純に興味がないのと、依弦の相手で手いっぱいなのが大きい。
誰かと話していてもセンサーをつけているのかと思うほどの速度で依弦がやってくる。この状況でどうやって女子と甘い恋愛ができるっていうんだ。
「お前ってそういうやつだよなぁ。いいよ、もう。じゃ」
気づいた時には俺の家の前まで来ていた。家から近かったという理由だけで決めた学校からの下校時間は、短いに決まっている。
「おう、じゃあな」
帰りの挨拶はそっけない。女子みたいに明るく手を振りながら何度も別れの言葉を紡ぐほどお世辞に満ちた関係でもないし、どうせ明日になれば嫌でもお互い顔を合わせる。
それにしても、依弦の家はどこなんだろう。かれこれ1年半ほど一緒にいるけれど、あいつの家に行ったことがないどころか、場所すら知らない。近いのか、遠いのか。それすら何度訊いてもはぐらかされるだけだった。
いつもはさっさと家に入るのに、今日は離れていく依弦を目で追ってしまっていた。心なしか俺といる時より歩みはゆっくりで、芯のある歩き方をしている。
俺がいなくても依弦が自分の足で立って歩いている。
そんな当たり前なことが不思議でならなかった。



