青く、淡い、フィルターの向こう側  -あの頃、好きと言えなかった君と大学で再会した-

「ゆっくん帰る?」

放課後、同じ帰宅部の奈那に尋ねられた。

「ん、琴あるし」
「親戚のおばちゃんが教えてくれるんやっけ、いいなぁ」

「したいなら声かけるよ」
「や、遠いからいいわ~」
「だよねぇ。んじゃまたね」

同じ鈴森中学に通っていたみんなは部活に入ったが、由紀は琴の練習があるので帰宅部としていつも一足早くに帰っている。

そのため学校帰りのバスではいつもポツンと一人旅。

「三番目ってなんなんだぁ~」

ランキングの存在を知った日のバスの車内で、窓の外を眺めながら由紀はぼやいた。

学校が変われば独特の空気というものも変わる。

暇で馬鹿な男子――もとい、西条悟(さいじょう さとる)という生徒主導でなされた完全なる独断偏見ランキング。
いちいち騒ぐことじゃないが、何様だよあんたはと言いたくなる。
しかも深刻になるようなカーストでないので余計に疲れる、そんな怠いノリにうんざりしたのだ。

バスの中は吐き出す場所としてはちょうど良かった。
何せ桐ヶ丘と鈴森を繋ぐこのバスを利用する客は殆どいない。
たまに高齢のおばあちゃんなど乗り合わせる時もあるが、今日も相変わらずのぼっちである。

しかしこの日は珍しく、由紀がぼやいたすぐ後に駆け込んできた人物がいた。