人口減少、少子化、有名店舗の地方撤退に市営病院の統合。
田舎で暮らすと増えるものより減るものの方がずっと多い。
減ったものの中には、中学一年まで過ごした地元の学び舎も含まれている。
生徒数の減少により我が母校――鈴森中学は、家から15キロ離れた桐ヶ丘中学と統合して消えた。
歩いて10分もかからなかった通学が、バスで30分の車酔いとの戦いに変わったのは中学二年の春。
田舎の中学校合併は一大イベントで、鈴森中の名前が消える事に地元の親世代は不平不満や懐古に勤しんで、しばらくの間はその話ばかりが時報のように流れていた気がする。
正直なところ、名称よりも交通の便で苦労することになる鈴森の生徒を憂いて欲しいのだが仕方がない。
まだその価値は分からないが、これが思い出というやつなのだろう。
「めっちゃキレーやん」
「モデルみたい。背ぇたっか!」
ありがたいことに鈴森の生徒はみな温かく迎えられ、特に由紀は統合後のクラスで異世界からの転校生並みにちやほやされた。
「え、こーやったら彼氏っぽくない?」
由紀の腕に腕を絡めてくる子は清水奈那。
甘い香りがふわふわと立ち上ってくる小動物のような女の子。そして身だしなみ以上の小洒落た感を醸し出している奈那がふざけて由紀を「ゆっくん」と呼んできたので、ここでのあだ名は「ゆっくん」に決まった。
桐ヶ丘中学校の二年の生徒数28名。
鈴森と統合しても2クラスにもならない狭い世界。
そしてこのちっぽけなクラスで、由紀は三番目に可愛いと噂される存在になった。
一、二を争うのは小柄で目がくりっとした庇護欲満載の愛嬌よしの奈那と、彼女に負けず劣らずのばっちり二重の華奢な女子生徒。
対して自分は背が高く、肩につかないワンレングスのショートヘアできつい顔立ち。
この三番という評価は女子の誰かがある馬鹿な男子から聞いてきたものらしいので、あってないようなランキングである。
それを知った時、わざわざ通学に15キロもかけて聞く話しではないと思った。
田舎で暮らすと増えるものより減るものの方がずっと多い。
減ったものの中には、中学一年まで過ごした地元の学び舎も含まれている。
生徒数の減少により我が母校――鈴森中学は、家から15キロ離れた桐ヶ丘中学と統合して消えた。
歩いて10分もかからなかった通学が、バスで30分の車酔いとの戦いに変わったのは中学二年の春。
田舎の中学校合併は一大イベントで、鈴森中の名前が消える事に地元の親世代は不平不満や懐古に勤しんで、しばらくの間はその話ばかりが時報のように流れていた気がする。
正直なところ、名称よりも交通の便で苦労することになる鈴森の生徒を憂いて欲しいのだが仕方がない。
まだその価値は分からないが、これが思い出というやつなのだろう。
「めっちゃキレーやん」
「モデルみたい。背ぇたっか!」
ありがたいことに鈴森の生徒はみな温かく迎えられ、特に由紀は統合後のクラスで異世界からの転校生並みにちやほやされた。
「え、こーやったら彼氏っぽくない?」
由紀の腕に腕を絡めてくる子は清水奈那。
甘い香りがふわふわと立ち上ってくる小動物のような女の子。そして身だしなみ以上の小洒落た感を醸し出している奈那がふざけて由紀を「ゆっくん」と呼んできたので、ここでのあだ名は「ゆっくん」に決まった。
桐ヶ丘中学校の二年の生徒数28名。
鈴森と統合しても2クラスにもならない狭い世界。
そしてこのちっぽけなクラスで、由紀は三番目に可愛いと噂される存在になった。
一、二を争うのは小柄で目がくりっとした庇護欲満載の愛嬌よしの奈那と、彼女に負けず劣らずのばっちり二重の華奢な女子生徒。
対して自分は背が高く、肩につかないワンレングスのショートヘアできつい顔立ち。
この三番という評価は女子の誰かがある馬鹿な男子から聞いてきたものらしいので、あってないようなランキングである。
それを知った時、わざわざ通学に15キロもかけて聞く話しではないと思った。



