青く、淡い、フィルターの向こう側  -あの頃、好きと言えなかった君と大学で再会した-

免許は持っていても車がないため移動手段は電車。

レンタカーにしようかとも話題に上がったが、この先の人生はきっと車で移動することの方が多いだろうからと思い出作りに電車を選んだ。

すると移動中、夏希に「電車酔いしてない?」と気にされる。

「大丈夫。話してると気ぃ紛れるし」

「そう?まぁ、念のため」

そう言って何か差し出され、受け取る瞬間に指先が触れる。

ドキリと心臓が跳ねて、掌に視線を落とすと虹色の小さな飴が映ってまた跳ねた。

中学時代を思い出す鮮やかな虹色の飴玉。

そういえば当時、バス酔いが酷かったあの日以降も時々手渡されることがあった。

「飴好きやなぁ……」

しみじみ告げると夏希はふっと笑った。

「由紀が酔った時のためやん」

あんまりムズムズすることを言わないで欲しい。勘違いしてしまいそうになる。

それからポツポツと言葉を交わす程度にお互い口数が減って、けれど長く電車に揺られたはずなのに、ちっとも気持ち悪くはならなかった。

些細な優しさに終始心がざわついていたからだろう。

電車を降りて、目の前に広がる海を見るまで耳がずっと熱かった。