青く、淡い、フィルターの向こう側  -あの頃、好きと言えなかった君と大学で再会した-

ーーーーあの日に見たことを教訓に、由紀は短編映画の制作に付き合うことにした。

思わせぶりな言葉を聞いても映画のために言っているのだと心得て色恋に繋げないように努力することにしたのだ。

とはいえ、実際は努力なんていうほど大袈裟に構える必要はまるでなかった。

夏希と脚本を前にすればワクワクが完全勝利して、甘酸っぱい青春の匂いは立ち消えたのだ。

「やっぱこういうのは同じ感性の奴とやるんいいわ。スマホ一台あったらそれなりに撮れる時代やしな。チーム内の化学反応とかそういうの青春はコンテスト内でやるもんやろ」

要するに好みが違うメンツが集まって一から話し合うのは嫌だということだ。

夏希の言いたいことは確かにわかる。

それが正解というわけじゃないが、盛り上がったテンションのまま、その勢いで作り上げたいといったことだろう。

微妙なニュアンスも三年間のブランクなどものともせず夏希の思考が理解出来た気がして、やはり根っこの部分が二人は同じなのだと再確認する。

大学生活は学業以外にも初めての一人暮らしに、はじめてのバイトといったはじめましてが沢山存在して多忙な日々だったが、映画制作のおかげで夏希とは一緒にいる時間が増えた。

はじめての演技も、悪くない出来……いや、正直に言うと、楽し過ぎてのめり込んだ。

頭で思い描いた台詞が完全コピーされているほど感情がちゃんと篭っているかという細かい部分は、将来を見据え努力してきた人達と比べてはならないレベルかもしれないが。

しかし脚本の熱量だけは届けたくて由紀なりに努力した。

そして季節は移り変わって冬。
最後のシーンの撮影のために海に行くことになった。