⚠️R15軽微⚠️
後半、軽微な描写が入ります。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
早朝の廊下――誰もいない。
声も、ほんの少しの物音も、何にもない。
俺たちの呼吸だけが、不規則な強さで響いてるだけだ。
「どんだけ早く来てんだっつーの。」
風太がカラカラと笑う。
「早起きは三文の徳、ってやつですね。」
「それな。」
教室とは逆の方向へ歩き出す。
あの端の階段を上がって、渡り廊下を過ぎて、また上がって、さびた廊下を真っ直ぐ行けば、そこにオカルト部がある。
俺も風太も進む先を見たまま、なぜか黙ってひたすら歩いてる。
今、目を見たら、
言葉を交わしたら、
きっと――待てない。
でも確かに感じるんだ。
寒いはずなのに、身体はポカポカとあったかい。服の中ではじわっと汗がにじんでる。
「ふーっ……」
風太がマフラーを外す。
ふわっと、俺の鼻をくすぐる香り。
あの日の風太の部屋を思い出す。
じわっ……俺はまた汗をにじませる。
「……っ、あちぃ。」
俺もマフラーを外す。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
――ん?んん!?
「え、マジ?」
思わず声が出る。
「リニューアルされてますね……」
ぽかんと立ち尽くす煌人の目線の先。
その目線を俺も追う。
オカルト部の扉がピッカピカ。
蹴りで開くような代物じゃねぇ。
誰か嘘だと言ってくれ。
「えぇ~……これなんなの?この扉リニューアルしたところで使ってないじゃん、この部屋ぁ……。変なところに金使いやがって。」
立ち尽くしていた煌人が吹き出した。
「金っ!風太、突っ込むのそこ!?」
「だってさぁ、俺めちゃその気なんよ。なのにひどくね?おかしくね?」
「プッ……その気って。ちょっと生々しいですよ、風太さん。」
うーむ。俺、無理。
我慢?
そんなもんは家においてきたわ。
スマホを出す。
――トトン。
画面を叩き、耳に当てる。
「あ、先生?光星風太です。おはようございます。俺、今日熱あるみたいなんで休みます。洞煌人も休みます。え?洞はなんでって?あー、高熱ですね、下がりようのない。はい、すみません。」
――トン……ッ。
キリッと煌人を見る。
「いやいや、キメ顔は違うでしょ。風太さん何してんすか。」
「休み連絡だよ。」
「分かってますよ。」
「あのな、こんなので授業なんてうけてられっかよ。しかも一限、古典だぞ。源氏物語とか秒で勃つわ。」
煌人の手のひらが俺の口を塞ぐ。
「やめてっ、風太っ。俺もそれ考えてましたから、なんかいたたまれなくなりますやん!」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
久しぶりの煌人の部屋だ。
そこに俺がいるって、それだけで鼓動が跳ねてしまう。
少し前――学校の廊下。
「煌人、俺ん家いこ。」
「あ。俺ん家にしましょう。ちょうど話もあったので。」
「ふーん?」
なんだろう、話って。
前なら、話あるって言われても別に気にもならなかったのに。
恋人同士の“話がある”は、胸の奥がざわついて仕方ない。
「あれ?風太、そこ座ってください。」
お茶を持った煌人が、目でクッションを指す。
コトッ……
グラスを置く音が、俺の熱を冷ましていく。
なんかっ……
急に恥ずかしくなってきた!
俺、さっき、色々言ったな。
言っちまったな。
うわぁぁぁ……
煌人どう思ったかな。
話があるって何?
引いてないかな。
話って何?
「ねぇ、話って何?」
うわ!俺の口、勝手に何言ってる?
セルフビンタしたい。
煌人の目がふっと細くなる。
――キュン♡
ってバカか、俺は。
これは煌人担当だろうが!!
「ごめん、忘れてっ。言いたい時でいいんだっ。」
ペチッ!頬に強く手を当てる。
その手を素早く煌人が握る。
「風太を叩かないで。」
「――あ、うん。そうだった。ごめん。」
「クスッ。悪い手ですね。」
煌人の目が俺の手を見つめる。
伏せたまつ毛の艶やかな黒に、俺の目は釘付けになってしまう。
そこに俺の意思なんて、ない。
俯いてる煌人の口角がふっと上がる。
そのほんの少しの膨らみすら、俺にとっては起爆剤みたいなもんだ。
えーい、もういいや。
襲っちゃえ!!
――ガタッ。
「えっ。」
至近距離に煌人がいる。
襲うはずが、俺は握られた手ごと煌人に引き寄せられていた。
さっきまで優しく細めていた瞳は
大きく、黒く、丸く……
そこで息をしてるみたいに
小さく小さく揺れている。
二人のピントがピタと合う。
それを合図に、俺の鼓動が重く跳ね始める。
こんなの、身体ごと跳ねてんじゃないか?
見てわかるくらいには、ドッドッドッと低音を響かせ、俺を叩いてると思う。
「あのっ……さぁ……こういうの、いつ覚えたんだよ。」
喉の奥から慎重に声を出す。
うわずるなんて最悪だからな。
「なんか、慣れてね?俺の知ってる煌人は……ポンコツのはずだろ?」
俺の手を握る煌人の指がピクッと動く。
ゆっくりと俺の頬に、煌人の口元が触れる。
「慣れてないですよ。風太が俺にこうさせるのですよ。」
うわぁぁぁ。
頬にキスしながら喋ってやがる。
跳ねてた心臓がうねりそう。
喉から抜ける俺の息がものすごく熱い。
今なら、俺、3分でラーメン作れるっ!!
「……風太、大好きです。……キスしたい。」
「ぬわっ!!みみみ、耳っ、耳やめろ!!」
恐ろしいド変態ポンコツだ。しれっと耳元で吐息をもらすとは。
こんなの俺は煌人にさせてない。
煌人が自分でやってんじゃねぇか。
「風太、恋人のキスしたい……今すぐしたい。いい、よね?」
「はわわわ……耳やめろって!」
ゾワゾワと腰から背中に広がる
この、くすぐったい痛みはなんだ!?
ヤバい。
俺、反応しちゃったあ……。
さっと俯く。
一人で盛り上がっちゃった姿なんて、いくら煌人でも見られたくないわ。見られた暁には、俺、穴蔵に篭もるから。
大きく目線を外したのに、また煌人が映り込んでくる。手のひらで煌人の顔を遠ざける。
「覗き込むの禁止っ。」
押し付けた指の向こうから、黒い瞳が真っ直ぐに俺を見てる。
俺はどこ見たらいいんだ。困るよ。
「だからもう見るなって。」

それでも煌人の目は、俺だけじゃなくて、ずっと奥まで見てるようだ。
――ムズムズする。
苛立ちみたいな衝動が俺をじわじわと侵食していく。
「風太、大好きです。」
手のひらの向こうで、煌人の唇が動いた。
あったかい呼吸を伴って、
その熱が俺の中に染み込んでくる。
「悪い。なんかもう無理。」
煌人に押し付けていた手を顎へと滑らせると、俺は煌人の温度に自分を重ねていた。
――はい。
光星風太、ここに陥落。
恥ずかしいほど爽快な気分。
ちょっと温度を重ねただけで
気分上々、オラオラ来いや。
もっともっと、食い尽くしたい。
強く深く、押し付ける。
のしかかっていく俺に合わせるように
煌人の腕が俺の背中を抱きしめる。
重なったまま、
俺を連れて後ろに倒れていく。
口を離す。
「俺、乗っかるの好き……っ。抱えられてこうするの、超好き。」
口早に言葉を落とし、
煌人を待たずにまた重ねる。
追いかけて離れて
また追いかけて。
逃げて
捕まって
右へ
左へ。
逃がさない。
離れそうで離れない。
呼応するようなキス。
俺の頭が、
――バカになっていく。
後半、軽微な描写が入ります。
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早朝の廊下――誰もいない。
声も、ほんの少しの物音も、何にもない。
俺たちの呼吸だけが、不規則な強さで響いてるだけだ。
「どんだけ早く来てんだっつーの。」
風太がカラカラと笑う。
「早起きは三文の徳、ってやつですね。」
「それな。」
教室とは逆の方向へ歩き出す。
あの端の階段を上がって、渡り廊下を過ぎて、また上がって、さびた廊下を真っ直ぐ行けば、そこにオカルト部がある。
俺も風太も進む先を見たまま、なぜか黙ってひたすら歩いてる。
今、目を見たら、
言葉を交わしたら、
きっと――待てない。
でも確かに感じるんだ。
寒いはずなのに、身体はポカポカとあったかい。服の中ではじわっと汗がにじんでる。
「ふーっ……」
風太がマフラーを外す。
ふわっと、俺の鼻をくすぐる香り。
あの日の風太の部屋を思い出す。
じわっ……俺はまた汗をにじませる。
「……っ、あちぃ。」
俺もマフラーを外す。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
――ん?んん!?
「え、マジ?」
思わず声が出る。
「リニューアルされてますね……」
ぽかんと立ち尽くす煌人の目線の先。
その目線を俺も追う。
オカルト部の扉がピッカピカ。
蹴りで開くような代物じゃねぇ。
誰か嘘だと言ってくれ。
「えぇ~……これなんなの?この扉リニューアルしたところで使ってないじゃん、この部屋ぁ……。変なところに金使いやがって。」
立ち尽くしていた煌人が吹き出した。
「金っ!風太、突っ込むのそこ!?」
「だってさぁ、俺めちゃその気なんよ。なのにひどくね?おかしくね?」
「プッ……その気って。ちょっと生々しいですよ、風太さん。」
うーむ。俺、無理。
我慢?
そんなもんは家においてきたわ。
スマホを出す。
――トトン。
画面を叩き、耳に当てる。
「あ、先生?光星風太です。おはようございます。俺、今日熱あるみたいなんで休みます。洞煌人も休みます。え?洞はなんでって?あー、高熱ですね、下がりようのない。はい、すみません。」
――トン……ッ。
キリッと煌人を見る。
「いやいや、キメ顔は違うでしょ。風太さん何してんすか。」
「休み連絡だよ。」
「分かってますよ。」
「あのな、こんなので授業なんてうけてられっかよ。しかも一限、古典だぞ。源氏物語とか秒で勃つわ。」
煌人の手のひらが俺の口を塞ぐ。
「やめてっ、風太っ。俺もそれ考えてましたから、なんかいたたまれなくなりますやん!」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
久しぶりの煌人の部屋だ。
そこに俺がいるって、それだけで鼓動が跳ねてしまう。
少し前――学校の廊下。
「煌人、俺ん家いこ。」
「あ。俺ん家にしましょう。ちょうど話もあったので。」
「ふーん?」
なんだろう、話って。
前なら、話あるって言われても別に気にもならなかったのに。
恋人同士の“話がある”は、胸の奥がざわついて仕方ない。
「あれ?風太、そこ座ってください。」
お茶を持った煌人が、目でクッションを指す。
コトッ……
グラスを置く音が、俺の熱を冷ましていく。
なんかっ……
急に恥ずかしくなってきた!
俺、さっき、色々言ったな。
言っちまったな。
うわぁぁぁ……
煌人どう思ったかな。
話があるって何?
引いてないかな。
話って何?
「ねぇ、話って何?」
うわ!俺の口、勝手に何言ってる?
セルフビンタしたい。
煌人の目がふっと細くなる。
――キュン♡
ってバカか、俺は。
これは煌人担当だろうが!!
「ごめん、忘れてっ。言いたい時でいいんだっ。」
ペチッ!頬に強く手を当てる。
その手を素早く煌人が握る。
「風太を叩かないで。」
「――あ、うん。そうだった。ごめん。」
「クスッ。悪い手ですね。」
煌人の目が俺の手を見つめる。
伏せたまつ毛の艶やかな黒に、俺の目は釘付けになってしまう。
そこに俺の意思なんて、ない。
俯いてる煌人の口角がふっと上がる。
そのほんの少しの膨らみすら、俺にとっては起爆剤みたいなもんだ。
えーい、もういいや。
襲っちゃえ!!
――ガタッ。
「えっ。」
至近距離に煌人がいる。
襲うはずが、俺は握られた手ごと煌人に引き寄せられていた。
さっきまで優しく細めていた瞳は
大きく、黒く、丸く……
そこで息をしてるみたいに
小さく小さく揺れている。
二人のピントがピタと合う。
それを合図に、俺の鼓動が重く跳ね始める。
こんなの、身体ごと跳ねてんじゃないか?
見てわかるくらいには、ドッドッドッと低音を響かせ、俺を叩いてると思う。
「あのっ……さぁ……こういうの、いつ覚えたんだよ。」
喉の奥から慎重に声を出す。
うわずるなんて最悪だからな。
「なんか、慣れてね?俺の知ってる煌人は……ポンコツのはずだろ?」
俺の手を握る煌人の指がピクッと動く。
ゆっくりと俺の頬に、煌人の口元が触れる。
「慣れてないですよ。風太が俺にこうさせるのですよ。」
うわぁぁぁ。
頬にキスしながら喋ってやがる。
跳ねてた心臓がうねりそう。
喉から抜ける俺の息がものすごく熱い。
今なら、俺、3分でラーメン作れるっ!!
「……風太、大好きです。……キスしたい。」
「ぬわっ!!みみみ、耳っ、耳やめろ!!」
恐ろしいド変態ポンコツだ。しれっと耳元で吐息をもらすとは。
こんなの俺は煌人にさせてない。
煌人が自分でやってんじゃねぇか。
「風太、恋人のキスしたい……今すぐしたい。いい、よね?」
「はわわわ……耳やめろって!」
ゾワゾワと腰から背中に広がる
この、くすぐったい痛みはなんだ!?
ヤバい。
俺、反応しちゃったあ……。
さっと俯く。
一人で盛り上がっちゃった姿なんて、いくら煌人でも見られたくないわ。見られた暁には、俺、穴蔵に篭もるから。
大きく目線を外したのに、また煌人が映り込んでくる。手のひらで煌人の顔を遠ざける。
「覗き込むの禁止っ。」
押し付けた指の向こうから、黒い瞳が真っ直ぐに俺を見てる。
俺はどこ見たらいいんだ。困るよ。
「だからもう見るなって。」

それでも煌人の目は、俺だけじゃなくて、ずっと奥まで見てるようだ。
――ムズムズする。
苛立ちみたいな衝動が俺をじわじわと侵食していく。
「風太、大好きです。」
手のひらの向こうで、煌人の唇が動いた。
あったかい呼吸を伴って、
その熱が俺の中に染み込んでくる。
「悪い。なんかもう無理。」
煌人に押し付けていた手を顎へと滑らせると、俺は煌人の温度に自分を重ねていた。
――はい。
光星風太、ここに陥落。
恥ずかしいほど爽快な気分。
ちょっと温度を重ねただけで
気分上々、オラオラ来いや。
もっともっと、食い尽くしたい。
強く深く、押し付ける。
のしかかっていく俺に合わせるように
煌人の腕が俺の背中を抱きしめる。
重なったまま、
俺を連れて後ろに倒れていく。
口を離す。
「俺、乗っかるの好き……っ。抱えられてこうするの、超好き。」
口早に言葉を落とし、
煌人を待たずにまた重ねる。
追いかけて離れて
また追いかけて。
逃げて
捕まって
右へ
左へ。
逃がさない。
離れそうで離れない。
呼応するようなキス。
俺の頭が、
――バカになっていく。



