∞8《インフィニティ・エイト》

 温かい夜風が頬をなでていく。

「天文部で観測しているうちに、もっと星のこと学びたくなった。それで、東大なら天文学を専門的に学べるって知った。……父さんと母さんには、去年のうちに相談して、許可をもらっている。夏美が福岡に引っ越さなくても、どのみち僕たちは離れ離れになってたよ」

「はぁ!? 何だそれ!? 兄貴が家を出るなんて、俺そんな話聞いてねーぞ!!」

 リクですら初耳の情報なようで、リクが顔色を変えた。
 
「リクには言ってないから。父さんと母さんにも口止めしてた。リクは口が軽いから、教えるなって念押しても、絶対夏美にも話が行くじゃない」

「ひっでー! 兄貴、俺のこと信用しなさすぎじゃね!?」

 普段のソラならここに軽口を返すのに、ソラは淡々と話を続ける。
 
「だから、たとえ夏美が新潟に残っても、ずっと一緒にはいられなかったよ。卒業したらみんなバラバラになる」

「……そっか」

 ソラの様子がずっとおかしかったのは、このことを伝えたかったからなのかな。

 私が両親にお願いして新潟に残っていたとしても、高校卒業を機に、ソラはここからいなくなっていた。

 ソラが私に会いに来るか、私から会いに行かない限りどんどんと疎遠になっていく。