∞8《インフィニティ・エイト》

「うん、行きたい。ソラ、今の時期見える星のこと教えてよ」

「…………夏美がそう言うなら、わかった」

 ソラの返事は、いつもより元気がない。

 笑顔もどこか陰っているような、力ない感じがする。

「よし、決まり! 夜になったら丘に行こうぜ。今のうちに物置からビニールシート出してくるか。あと飲み物と食いもん持って……」

 リクが勢いよく立ち上がり、ソラは小さく笑う。

「三人で星を見るなんて、懐かしいな」

「たまにはこういうのもいいだろ?」

「たしかにね」

 ソラは遠くを見るような目をした。

「兄貴。夏美と二人で天体観測用の飲み物と食うもん買ってきてくれよ」

「いいけど……、リクのほうがこういう買い物に行くの好きじゃない?」

「俺はついでに物置の整理するから、頼んだぞ」

「……わかった」

 ソラはバッグを取りに自分の部屋に戻る。

「夏美。ちゃんと兄貴と話せよ。俺がいたら話しにくいだろ」

「ありがとう」
 
 リクはこそっと私に耳打ちして、物置の鍵を片手に玄関を出ていった。