∞8《インフィニティ・エイト》

 陸上部のリクに足の速さでかなう訳もなく、あっという間に息が上がる。

 人ごみの中でも、すぐにリクを見つけられた。

 私が追ってくると思っていなかったのか、リクは驚いた顔をしている。

「夏美……」

「…………ごめん、リク。リクの手を取るのは、私じゃだめなの」

 ループの中で何度も告白されて、自分の中にあるリクへの気持ちが何なのか、見えた。

 真夏の太陽のように真っ直ぐで熱いリク。

 リクの在り方はとても眩しいけれど、リクの隣で恋人として立つ自分を想像できなかった。

 リクの隣にいるべきなのは、私ではない誰かだ。

 リクは少しだけ寂しそうに目をそらす。

「……そんな顔すんな。わかってたよ。夏美はいつも兄貴のこと目で追っていたから。兄貴も、いつだって夏美のために動いていた。俺が気づかないような些細なことも気づいて、率先して動くんだ。それでも、少しでもチャンスがあるならって、期待してた。でも、だめだな。俺と兄貴、同じのは顔だけだから。俺じゃ兄貴にはなれない」

 はなからわかっていた、なんて言いながら、リクは微笑む。

 その表情は少しだけ、ソラに似ている。