∞8《インフィニティ・エイト》

「あっ、ソラ先輩!」

 教室を出たところで芽衣さんが駆け寄ってきた。

「やあ、篠原(しのはら)さん」

「ソラ先輩、どうして学校に?」

「夏美は明日で転校するから、最後に、ちょっと見て回ろうと思って」

「そっか」

 芽衣さんは両手を合わせてソラを見上げる。

「ソラ先輩。実はあたし、補習があって学校に来てたんです」

「補習?」

「……数学と英語で赤点取っちゃって……。だからソラ先輩、勉強教えてくれませんか? ソラ先輩、部活のときもいつも丁寧にわかりやすく教えてくれるから、ソラ先輩になら頼みやすいな。先生にも今の成績じゃ東大目指すなんて夢のまた夢だぞって言われちゃって」

 何度か芽衣さんと遭遇するうちに、頭にふと疑問が浮かんだ。

「篠原さんだっけ。成績を上げたいなら、補習担当の先生に聞くか塾に行ったほうが確実じゃない? 先生は指導のプロだもの」