∞8《インフィニティ・エイト》

 八月八日をくり返して何度目か、校門をくぐる。

 今日は夏休みだから、校内にはほとんど生徒がいない。

 何人かいるのは運動部、吹奏楽部の生徒だ。

 校庭の方からは威勢のいい掛け声と、バッティング練習の音が聞こえてくる。

「リクも少し前まであの子達と一緒に走っていたのに、引退してこっちにいるのって不思議な感じだね」

 ソラが校庭の方を見ながら言う。

「思い出させんな兄貴! あーあ。あと一秒早ければメダルだったのにチクショー!」

 メダルを取れたらやりたかったことがなんなのか、私はもう知っている。

 リクの真剣な気持ちを茶化す気になれない。

 教室に入ると、リクがこれまでと同じように、窓際の自分の席にドサッと座る。

「……こうやって夏美と来るのも、最後なんだな。なーんか、変な感じ。夏休みがあけたあとも、そこに座ってそうな気がする」

 私も休みに入る前の自分の席に座り、教室を見渡した。

 ソラは私の後ろの席に座る。

「こんなに静かな教室って、不思議だよな」

「今日は先生がいないからいくらでも居眠りできるよ。良かったねリク」

「うるせぇ兄貴!」

「そういうこと言うなら、次先生にかけられても助けないよ」

「それは困る!」

 ループの記憶がなかったなら、二人に思い出話をふってはしゃいでいた。

 今はどうすればループが終わるのか、そんなことばかり考えてしまう。

「夏美、なんか今日はおかしくないか。やけに口数少ないっつーか」

「そんなこと、ないよ。なんだろうね。私も、感傷に浸りたくなることもあるのかも」

 ソラとリクの会話は、三回目のときとほとんど同じだった。