∞8《インフィニティ・エイト》

「夏美ー! 起きてるかー?」

 外からリクの声がする。
 ゆっくりと体を起こして、スマホの画面を見る。

 8月8日 8:30。

「……また、八月八日」

 眠い目をこすりながら起き上がる。

 手帳を取り出してみたけれど、昨日書いたはずのループに関するメモがきれいサッパリ消えていた。

 消えたというより、書く前の状態に戻っている。

 ソラにもらったはずのシャープペンの芯も、なくなっている。

 使ったお金は使う前に戻るし、転んで擦りむいた傷が消えるし、メモは消えるし、記憶も消える。

 記憶以外、全部巻き戻るんだ。

 ねぐせを直して玄関を出ると、何度もくり返してきたやりとりが始まる。

 昨日(・・)と同じ朝。