私の手首を握っていたソラの手に、力がこもる。
「もう少し警戒しなよ。僕が何もしない、無害な男だと思っているの? 僕はみんなが言うような優しい人間じゃない。善人なんかじゃない。夏美を閉じ込めて、僕だけのものにしたい。泣かせたい。僕以外の男に触れさせたくない。今日だって、リクがいなかったらそうしていた。夏美がリクや他の男の手をとったとしても、奪い取りたい。でも、そんなことしたら夏美に嫌われてしまう」
ダムが決壊するように、ソラの激情が溢れだす。
穏やかで優しくて、リクと私が喧嘩したら即座に仲裁に入るような、"みんなのお兄ちゃん"のソラは、ここにはいなかった。
「ソ、ソラらしくないよ」
これだけの言葉の波を叩きつけられても、私はソラの手を振りほどけなかった。
「僕らしいって、なに? どうするのが僕らしいってことなの? 僕はこんなに醜い気持ちで、今こうして夏美に触れている。僕らしい僕なら、どうするのが正解なの?」
「ソラ……」
ソラは自分の気持ちを醜いと言うけれど、私にはそう思えなかった。
大きな木に背中を押し付けられて、ソラを見上げる。
私を見るソラの瞳は、涙で濡れていた。
「嫌なら突き飛ばせばいい。嫌いだって言えばいい」
「そんなこと、できないよ」
拘束されているわけじゃないから、逃げようと思えばソラを突き放して逃げられる。
なのに、逃げるという選択肢は出てこなかった。
怖いのに、視線をそらせない。
今のソラから逃げちゃいけないような気がする。
「もう少し警戒しなよ。僕が何もしない、無害な男だと思っているの? 僕はみんなが言うような優しい人間じゃない。善人なんかじゃない。夏美を閉じ込めて、僕だけのものにしたい。泣かせたい。僕以外の男に触れさせたくない。今日だって、リクがいなかったらそうしていた。夏美がリクや他の男の手をとったとしても、奪い取りたい。でも、そんなことしたら夏美に嫌われてしまう」
ダムが決壊するように、ソラの激情が溢れだす。
穏やかで優しくて、リクと私が喧嘩したら即座に仲裁に入るような、"みんなのお兄ちゃん"のソラは、ここにはいなかった。
「ソ、ソラらしくないよ」
これだけの言葉の波を叩きつけられても、私はソラの手を振りほどけなかった。
「僕らしいって、なに? どうするのが僕らしいってことなの? 僕はこんなに醜い気持ちで、今こうして夏美に触れている。僕らしい僕なら、どうするのが正解なの?」
「ソラ……」
ソラは自分の気持ちを醜いと言うけれど、私にはそう思えなかった。
大きな木に背中を押し付けられて、ソラを見上げる。
私を見るソラの瞳は、涙で濡れていた。
「嫌なら突き飛ばせばいい。嫌いだって言えばいい」
「そんなこと、できないよ」
拘束されているわけじゃないから、逃げようと思えばソラを突き放して逃げられる。
なのに、逃げるという選択肢は出てこなかった。
怖いのに、視線をそらせない。
今のソラから逃げちゃいけないような気がする。



