∞8《インフィニティ・エイト》

「あとね、お財布の中身ももとに戻ってるの。アイスを買ったはずなのに、レシートもなくなってて。買う前のお財布の状態に戻ってるっていうのかな」

「ははは。そこだけ聞くとちょっとだけラッキーって思っちまうな。いくら金を使っても無くならないなら実質ゲーム買い放題じゃん」

「ふざけてる場合じゃないよ、リク」

 ソラがリクの頭を軽く小突く。

 今年だけループを起こす原因になるなんて、考えにくい。

「ううーん……どうしたら、明日が来るのかな。ループの原因ってなんだろう。私たちだけ記憶があるのも不思議だよね」

 私は黄色いネコクッションを抱えて転がる。

 ソラの部屋に置かれているシンプルな品々の中で、このクッションは唯一かわいい系のアイテムだ。

 勝手にニャーちゃんと名付けてかわいがっている。ソラがダメッて言わないからこの子はニャーちゃん。

 リクは頭をがしがしかいてうなる。

「んがぁぁあ!! 俺はそういうのからっきしだからわかんねー。兄貴、宇宙の神秘でなんとかならねーのか?」

「リクは宇宙をなんだと思ってるのさ」

「なんか映画であるじゃん。時空ワープとかタイムトラベルとか、そういうやつ」

「タイムトラベルは宇宙となんの関係もないよ」

 時間が延々とループしているというのに、二人のやり取りはいつもと変わらない。

「学校に行く、お祭に行くというのをやめてみる? 私、記憶にある二回とも、学校に行って商店街を通ってお祭に行ってた。違うことをしたらループが終わったり…………しない、かな」 

「じゃあ、試しに今日は映画にでも行ってみる? モールまで行けばシネマがあるし。もしまた八月八日が来てしまったら、そのときは別の方法を考えよう」

「だなー。今のとこ解決策なんかなんもないし」

 ソラはスマホで映画館のホームページを開き、いま上映中の映画をチェックする。