∞8《インフィニティ・エイト》

「夏美はどのあたりで、ループしているって気づいた?」

「……うーん。今日で、三回目、なのかな? 寝て起きたら、八月八日の朝に戻ってたの」

「そうか。僕はもう少し多い。僕が知覚できたのがループの始まりだとしたら、今日は五回目の八月八日だ。……もしかしたら僕たちが気づいていないだけで、もっと前からくり返しているかもしれない」

 普段と変わらない声音と表情で、ソラはそんなことを言う。

「……気づいてんなら、なんでもっと早く言ってくれなかったんだよ。そんな意味分かんないことになってんのに放置してたのかよ」

「夏美がループしていると肯定しなかったら、リクは信じなかったじゃないか。僕一人だけが気づいても、なにも変えられなかったんだ」

 実際に半信半疑だったリクは何も言えず黙り込む。

 何回も同じ日をくり返しているなんて骨董無形(こっとうむけい)な話、信じろという方が無理かもしれない。

 私はショルダーバッグから革の手帳とシャーペンを出して、空きページに現状を書きつける。

 これは中学に入る年の誕生日にソラがくれたもの。

 手帳はリングファイル式になっているから中身を差し替えれば何年でも使える。

 ペンも普段使いできるおしゃれなデザインで、持ちやすくて書き味もいい。

 書こうとして三文字目で芯が無くなった。

 文具類一式も、とっくに福岡に送ってしまっている。