∞8《インフィニティ・エイト》

 図鑑を読んでいるとソラが戻ってきた。

「おまたせ、夏美。麦茶でよかった?」

「うん。ありがとう」

 グラスの表面にはうっすら結露がついていて、中で氷がくるくるまわる。

 ほどよく冷えた麦茶で、汗がすうっとひいた。

 ソラは図鑑を見て、ふわりと笑う。

「懐かしいものを読んでいるね」

「これ読んで、三人で流れ星を探しに行ったよね」

「あはは。そんなこともあったね」

 髪を直したリクもやってきた。

 勝手知ったる兄の部屋で、どかっと座布団に座って足を投げ出す。

 それをよけるようにして、ソラは学習机の椅子に腰掛ける。

 私の開いている図鑑を見て、リクはつまらなそうに言う。

「あ、その本まだあったのか。そこまでボロくなってんだから、いいかげん捨てればいいのに」

「リクにとってはゴミでも僕にとっては宝物なんだよ。僕が星を好きになったルーツなんだから。リクだって小学校のときにもらったマラソン大会の表彰状を、ゴミって言われたら嫌だろ」

「へーへー、悪うございました」

「もー、リクってば。なんで毎回ソラにかみつくの?」

 ソラの背後にある窓から、庭木のモミジが見える。

 星野家のお父さんが植えたものだ。

 秋になるとキレイに赤く色づく。