∞8《インフィニティ・エイト》

 ソラの部屋は整理整頓が行き届いていて、コルクボードには星の写真がたくさん留めてある。

 どの写真もすごくきれい。

 本棚には天文学や惑星関連の専門書が並んでいる。

 天体望遠鏡はきれいに磨かれて、光沢を放っている。

 本当に几帳面だよなぁ。

「てきとうに本でも読んで待ってて。お茶持ってくるから」

「うん」

 見るとなしに部屋を見回す。

 引き抜いてみた一冊は、相当読み込まれたものだ。

 擦り切れてボロボロになっていて、背表紙はもうもとの色がわからないくらいに()せている。

【よくわかる、こどもの星座図鑑】

 私が小学生の頃、ソラの誕生日プレゼントした本だ。

「あ、この本。……懐かしいなぁ」

 私たちの暮らす新潟県の北部では、毎年八月末ころに星まつりという天体観測のお祭が開催される。

 ソラは初めて星まつりに参加した年、「僕も星の先生になりたい!」なんて、天文教室の先生に言っていた。

 先生も「君と働ける日が来るのを待ってるよ」と笑っていた。
 
 それから私たちは毎年星まつりに行って、飽きることなく三人で星を見ていた。

 ソラは天文部に入部しちゃうくらいには、星好きになった。
 今や部員たちに慕われる部長さんだ。