∞8《インフィニティ・エイト》

「思い立ったが吉日だよね」

 二人が来る前に、自分から会いに行った。

「ソラ、リク。いる?」

 星野家のチャイムを鳴らすと、扉の向こうから階段を駆け下りてくる足音が聞こえた。

 それから勢い良く扉が開く。

「夏美!? どうしたんだよ、こんな朝早くうちに来るなんて!」

 リクの髪が竹ぼうきみたいになっていた。

 いつも私のねぐせをからかうのに、リクだって寝起きはひどい有様じゃん。

「そっちこそどうしたの、その頭。モップ?」

「だ、だれがモップだっ!」

 いつもからかわれている仕返しで頭を指せば、リクは自分の髪に触って顔を引きつらせる。

 大慌てで洗面所にかけていった。

「どうしたの、夏美」

 ソラは私が来るのをはじめからわかっていたかのようで、落ち着き払っている。

 ループを知らないと言われたら、私が変な夢ばかり見るおかしな子ということで片付くよね。

 深呼吸してソラに問いかける。

「……………ソラ。私、今からすごく変なこと聞くと思う。笑わないでくれる?」

「笑わないよ」

「……昨日のこと、覚えてる?」

 私、これまでで一番緊張しているかもしれない。

 ほんの数秒のはずなのに、沈黙が永遠にも感じてしまう。

「夏美が聞いているのは、どの昨日のこと? 八月七日? それとも…………八月八日?」

 やっぱり、ソラも覚えているんだ。

 八月八日が何度もくり返していることを。

「そのことで話したいの。あがってもいい?」

「いいよ。僕の部屋に行こうか」

「ありがとう」

 サンダルのかかとを揃えて、邪魔にならないよう玄関の端においておく。