∞8《インフィニティ・エイト》

 何かを食べる気になれなくて、部屋に戻って布団に倒れ込んだ。

 タオルケットに包まって、膝を抱える。

 友達から恋のお悩み相談を聞かされることは多々あったけれど、自分が恋をする側になるなんて想像したことがなかった。

 私が今抱えているものは、少女漫画の主人公のような、胸を踊らせるキレイなものじゃない。

 知っちゃった。

 もう、何も聞かなかった時間には戻らない。

 ソラは私に告白した上で、これまで通りの幼なじみを演じている。

 でも長年一緒にいたから、ソラが無理して笑っているのがわかる。

 リクの告白を断っても、同じ顔をさせることになる。

 ただの幼なじみ三人組でいたいなんて、二人を苦しめるだけのわがままでしかないんだ。

 苦しめたいわけじゃないのに。

 頭の中にソラに言われたことが蘇る。

「昨日のこと、覚えてる?」

 ソラの言う昨日は──どの日を指しているの?

「忘れないで。何度でも言うよ。僕は、夏美のことが好きだ」

 意識が眠りの世界に落ちていく。

 ────そしてまた、八月八日の朝が来た。