∞8《インフィニティ・エイト》

 夏休みに入ってしばらく経つから、高校の校舎は普段より静かだ。

 校舎裏に位置するグラウンドからはバッティング練習の音がする。

 体育館からはバスケットボールの弾む音が聞こえてくる。

 校舎からは吹奏楽部の管楽器のメロディが届く。

 熟練の音色にちらほらと音の外れた楽器が混じっている。

 ちょっと音程の外れたトランペットが、同じ小節を何回も繰り返している。

 人が少ないぶん、そんな細かなところまで聞こえてなんだか面白い。

「いつもよりも静かだね。あのトランペットの音って一年生かな」

「そうかも。音楽は練習あるのみだから夏休みでもずっと来て練習しているみたい。天文学部の集まりのときにも聞こえていたから」

「ははは。俺がトラック走ってたときもだいたいあの音が聞こえてたぞ。なぁ、最後なんだし、教室見てこうぜ」