∞8《インフィニティ・エイト》

 部屋は()()のまま、空っぽ。

 部屋に残っているのは、敷き布団とタオルケット、財布や手帳を詰めたショルダーバッグだけ。

 外から聞こえるのは、耳が痛くなるほどのセミの鳴き声。

 ソラとリクの声、チャイムの音。

 心臓の音がいつもよりもうるさい。

 私はじっと手のひらを見つめる。

 なんで、転んだときのすり傷がなくなっているんだろう。

 あれ? 傷?

 私、怪我なんてしてたっけ?

 どこで転ぶっていうの?

 昨日は引っ越しの業者が来て、荷物を片付けていたはずなのに。

「おーい夏美! 早くしろー!」

「……い、今行くー!」

 窓の外に返事をして、ねぐせ頭のままで玄関を開ける。

 いつもどおりソラとリクがそこにいた。