∞8《インフィニティ・エイト》

「少しくらい、警戒してくれてもいいんじゃないかな……」

 眠ってしまった夏美に言っても仕方のない話だけれど、僕のことを男として意識していないから平気で眠れちゃうんだろうな。

  残念でならない。

 けれど警戒されていたら、二人きりで勉強なんてしてくれないに決まっている。

 幼馴染だから信用して、こうしてここにいてくれる。

 なら、今のほうがいいのかと問われてもウンと言えない。

 恋愛マンガでよく、幼なじみと離れることになってようやく恋を自覚する。

 ……なんて話があるけれど、夏美がその一般論と同じな訳がない。

 夏美はかなり鈍い部類に入るから、僕から告白して積極的にアプローチしない限りは気づいてくれないだろう。

 東大受験を考えていること、まだ夏美に打ち明けられていない。

 推薦入試の時期を考えると十二月までには言わないといけない。

「もし合格できたら、一緒に東京で暮らしてほしい」

 なんて、ドラマみたいなロマンチックなことを言えたらいいのに。