∞8《インフィニティ・エイト》

 ママがなんだか疲れた顔してる。

 何回も失敗したけれど、バレンタイン当日の朝までには渾身のクッキーができた。

 チョコペンで好きですって書いた。

 他にも何人かソラ先輩にチョコを渡しに行く女の子がいたけれど、一番美味しいのはあたしの手作りクッキーだから!

 来るバレンタインの放課後。

 部室に先輩たちが来た。

 ソラ先輩は大きい紙袋をふたつさげていた。

 有名ブランドのチョコレートたちがひしめきあっている。

 高いお菓子でソラ先輩の心を釣ろうって作戦ね。なんてやな女たち。

 あたしはここぞとばかりに、部室のテーブルの真ん中に、クッキーを出す。

「先輩がた、今日はバレンタインだから、いつもお世話になってるお礼に作ってみたんです! 良かったらみんなで食べてください」

「お、ありがとうなー、篠原」

 ソラ先輩以外の先輩たちはちょこちょこ手を伸ばして食べてくれた。

 ソラ先輩も一枚だけとって「いただくよ」と言って食べてくれた。