∞8《インフィニティ・エイト》

 あたしの予想では、天文部って黒髪メガネの冴えない陰キャオタクしかいない、星を見る以外にやることのない部だ。

 サボったって何も言われないっしょ。

 案内のプリントを頼りに向かった部室は狭くて、部屋の中央に机が五つ頭をくっつけて並べられていた。

 壁のボードには所狭しと星空の写真が貼ってある。

 窓際に天体望遠鏡がある。

「わー、予想通り地味ー」

 部室内を見回しているうちに、男子生徒が一人入ってきた。

 背が高くて、穏やかそうな人。

 陰キャ要素なんてどこにもなくて、むしろ爽やかの塊。

「初めて見る顔だね。もしかして入部希望かな?」

 あたしが持っている校内部活案内パンフレットを見て言う。

 ど、どうしよう。

 顔が良いだけじゃなくて声まで素敵。

 穏やかっていうか、王子様?

「あ、は、はい。とりあえず仮入部かな、って」

「そう。よかった、後輩ができて。僕は星野ソラ。二年一組」

「あたしは……一年二組の篠原芽衣です」

「篠原さんね。みんなもすぐ来ると思うから、空いてるところ好きに座って待ってて」

 ふわりと笑って促される。

 ……かっこいい上に優しい。笑顔も素敵。

 星野ソラという人の柔らかな雰囲気と知的な眼差し。

 これが一目惚れなのね。

 あたしの心は一瞬で撃ち抜かれた。

「明日の夜、仮入部の部員向けに夜の校庭で天体観測会をするから、それを見てから入部するかどうか決めてもらってかまわないよ」

「はい!」

 他の先輩や新入部員、あたしを合わせて五人しかいない小さな部活。

 天体観測会はすごくロマンチックで、その場で入部届を提出した。