∞8《インフィニティ・エイト》

「…………ず、ずるいよソラ。私が、ソラのお願いを断れるわけないじゃん」

「僕は好きってちゃんと言葉にしているのに、夏美はソラ大好き、私も結婚したい! って言ってくれないの?」

「ばか」
 
 恥ずかしさのあまり、私は半泣きでソラの胸を叩く。

 拳はいともたやすくソラにとらえられた。

 手を重ね合わせて、ソラは柔らかく微笑む。

 幼い頃は同じくらい小さかった手のひらは、すっぽり私の手を包み込む。

 大きくて温かい手のひらは、緊張でほんのり汗ばんでいる。

 きっと私の手も同じ。

 ソラの瞳に、私が映っている。

 私が断るなんて微塵も思っていない目をしているのが悔しい。

 でも実際に、私の中にある答えは一つしかない。

 何を差し出されたって、このポジションを他の人に譲るなんてできない。

「…………私も、結婚するならソラがいい」
「ありがとう、僕も夏美がいい」

 私は瞳をとじてソラの口づけを受け入れた。


 こうして十八回目の誕生日に、星野ソラは青井ソラになった。