∞8《インフィニティ・エイト》

 だから私は毎回、卒業式のときでも二人に誕生日プレゼントを用意していた。

 ソラは私の肩に寄りかかって、昔を懐かしむように目を細める。

「夏美。小学三年生の時さ、クラスメートに僕たちの名字のことでからかわれたの覚えてる?」

「ええと、私の名字が青井だから、ソラが婿入りしたら星空が青空になって、笑えるよなー、って言われたあれ?」

 からかってきた男子たちは先生に叱られていたけれど、いじられた当人のソラは平然としていた。

「なんでも願い事叶えてくれるなら、僕は青井ソラになりたい。夏美が結婚してくれたら、大学の勉強すごく頑張れるんだけどな」

 抱きすくめられて耳元で囁かれる。

 子どものような甘えた声。

 子どもみたいなことを言うのに、力は確かに成人男性のもの。

 身じろぎしても、ソラの腕はほどけない。

 鼓動が早くなる。

 触れているソラの鼓動すらも聞こえて、頭の中はパニック。

「……ちょ、ちょっと、待って。ソラ」

「もう待たない。僕は、あのループの中でたくさん待ったよ。それにね、僕たちが結婚するとメリットがたくさんある」

「それってどんなメリット?」

 ソラの瞳を覗き込むと、ソラはコツンと額に額を合わせてプレゼンをはじめる。