∞8《インフィニティ・エイト》

 飛行機の中では腕時計の針を見ながら、着陸予定時刻を待っていた。

 星空の中を銀色の針がぐるりとまわっている。

 この時計をつけていたら、新しい高校でみんなに質問攻めにされたんだよなぁ。

 明らかに男物の腕時計で、文字盤の裏ブタにはソラの名前が刻印されていたから。

 遠恋中の彼氏がいると即日クラス中に広まった。

 空の旅を終えて羽田空港の到着ゲートを抜け、スーツケースを転がす。
 
「夏美。おかえり」

 聞き慣れた声。

 黒のコートを羽織ったソラが、歩み寄ってきた。

 久しぶりに会ったソラは、ほんの少しだけ大人びて見える。

 何か期待するように、両手を差しのべる。

「ただいま、ソラ」