∞8《インフィニティ・エイト》

 それから日々は過ぎて、高校卒業の日を迎えた。

 卒業式を終えたあと、夏美は福岡空港に向かった。

 出発ロビーでスーツケースを引きながら、搭乗案内の電光掲示板を見上げる。

 羽田空港行きの便の出発まで、あと一時間。

 登場前の手荷物検査の列は、満員電車なんて比じゃないくらいギュウギュウになっている。

 もっと早く来ればよかったかな。

「夏美」

 父さんと母さんが私を呼ぶ。

 父さんはどこか寂しげな、それでいてどこかおかしそうな笑みを浮かべている。

 母さんは泣きすぎてハンカチをグショグショにしていた。

「母さん。別にもう二度と会えないわけじゃないのに」

「えっうっ。だってぇ、夏美がついに巣立っちゃうんだもの……」

「巣立つって、大げさだなぁ」

 そう言いつつ、私も胸がじんと熱くなる。

 父さんが白い封筒を差し出した。

「夏美。向こうに着いたら、これをソラくんに渡してくれ」

 封筒の宛名には、達筆な字で「星野ソラ様」と書かれている。