∞8《インフィニティ・エイト》

 福岡に引っ越してからあっという間に時間が流れていく。

 祖父の商店を継いだ父さんと母さんは、仕事に慣れるまでが大変だったものの、今では笑顔で働いている。

 私はというと。

 高校三年生の夏なんていうほぼほぼ学生生活終わりかけの時期での転入だから、だいぶ珍しがられた。

 けれどクラスメートはみんな気のいい人で、私は早くクラスに溶け込んでいた。

 毎日学校が終わるとソラと電話して、今日あったことを話すのが日課になっていた。

「ソラ、そっちはどう? 天気予報見てたら雪って言ってたけど」

『ちょっと積もったよ。見る? ほら』

 ソラがテレビ通話にしてくれて、家の前にリクが作ったらしい大きな雪だるまができている。

 雪だるまは青いバケツの帽子をかぶっている。

「あはは、雪だるまおっきいねぇ。こっちは雪が降る気配がないよ。びっくり。降ってもその日のうちにとけちゃうの」

『それなら僕が来週そっちに行くときも、ほとんどなさそうだね』

「そうかも」

 ソラの声を電話越しに聞くのは何ヶ月経っても慣れない。

 離れるまでは毎日隣に居たのに。

 隣に住む幼なじみという環境が、どれだけ幸せだったのかわかる。

 年末年始の休みを利用して、福岡に遊びに来てくれることになっていた。

 一泊二日の小旅行、久しぶりに会えても一日で帰っちゃうのは寂しい。

 飛行機はお金がかかるから、わがままは言えない。

 だからソラが来てくれたとき、時間の許す限りたくさん話をした。