∞8《インフィニティ・エイト》

 大きくてあたたかい手が、心地いい。

 ループが終わって以降、ちょこちょこ私の知らないソラが顔を出す。

 私をからかって反応を楽しむ意地悪な顔だ。

 いつもの品行方正で優等生なソラはどこに行ってしまったのかな。

 誰にもわがままを言わなかったソラが、私にだけ独占欲むき出しでわがまま言ってくるのって、なんだか嬉しい。

 これが惚れた弱みというものなのかな。

「夏美、そろそろ行かないと」

 母さんに促されて、私はキャリーバッグを引く。

「じゃあね、みんな」

 最後にもう一度、顔を見渡す。

 リクは笑って手を振っていた。

 おばさんはハンカチを握りしめ、おじさんは肩を抱いて慰めている。

 そして──ソラ。

 ソラはじっと、私を見つめていた。

「向こうに着いたら、連絡するからね。ソラ」

「待ってるよ」

 短く交わした言葉の中に、言葉にできない想いが詰まっていた。