∞8《インフィニティ・エイト》

 ソラは自分がしていた腕時計を外して、そのまま私の手のひらに乗せた。

 いつもソラがしている、上品なアナログ時計だ。

 ダークブルーの文字盤には銀色の星が散りばめられていて、革ベルトはブラック。

 星空の名をそのまま体現していて、ソラによく似合っている。


 ソラを見つめると、ソラは笑顔で私の手に手のひらを乗せる。

「この時計、夏美にあげる。向こうで使って」

「で、でも、これはソラが大切にしていた腕時計でしょ? 高校に入ってからいつもつけていたじゃない。おじいちゃんにもらった大切なものなんでしょ?」

「夏美に持っていてほしいんだ。そばにいられない分、お守りに。スマートウォッチだとカンニング対策で取り上げられちゃうけれど、アナログの腕時計なら、学校でも身につけていられるから」

 指先で、腕時計の文字盤をそっとなぞる。

 メンズブランドの腕時計だから、ベルト部分は大きくて私の手首にはブカブカだ。

 でも、確かに持っているだけで安心できるような気がする。