∞8《インフィニティ・エイト》

 八月九日。

 夏の空は、どこまでも高く澄んでいた。

 新潟空港のロビーの一角で、私と母さんは並んで立っていた。

 目の前には、見送りに来てくれた星野一家がいる。

 おばさんは目を真っ赤にして、おじさんも何度も鼻をすすっていた。

「ほんとに……ほんとに、遠くに行っちゃうのね……。もう夏美ちゃんと一緒にごはんを作れないなんて寂しいわ」

「たまには遊びにきてくれよな。うう、グスッ」

「おばさん、おじさん、大げさすぎだって。一応日本国内だよ?」

 私が苦笑すると、リクは両親の背中を叩いて笑う。

「まあでも、確かに寂しくなるよなー。兄貴はお前がいないとほとんど口を開かねーんだから。通学が苦行になるんだけど」

「リクは一人でも賑やかだから大丈夫でしょ」

「うるせぇ! あ、そうだ。向こうのうまいもん送れよな! 俺、本場の明太子食ってみたい! あと博多ラーメン、長浜ラーメン!」

 ソラとリクの容赦ない口げんかを見るのも見納めだな。
 なんだか寂しい。

「もう……リクは最後まで食い意地はってるんだから。今言ったもの全部通販でも買えるじゃん」

「自分で取り寄せるなんて味気ないだろうが。おみやげでもらうから良いんだよ。想像してみ? 自分の立場で通販で取り寄せる東京バナナ、友だちが買ってきてくれる東京バナナ。同じに思えないだろ」

「それは……そうかもしれない」

 リクらしい言葉に、少しだけ寂しい気持ちが軽くなった。