∞8《インフィニティ・エイト》

「え、ええと、いきなり同棲は、お父さんたち許してくれるかわからないよ。法律的には成人だから、自分たちの意思で決められるけどさ」

「他の男に付け入る隙を与えたくないんだ。何年も遠距離なんて嫌だし、一緒に住めば何よりも牽制になる」

 ソラの手が私の頰を滑る。
 額をコツンと合わせる。その声音は、どこか危うさを孕んでいた。
 
「牽制も何も、私告白されたのはソラとリクが初めてだよ?」

「夏美、気づいてなかったんだ。クラスの男子何人かは夏美狙いだったよ。僕とリクがいつも隣にいたから、声をかける隙がなかっただけで」

 私に声をかけようとしていた人なんていたの?

 ソラの考え過ぎでなく?

 記憶を辿っても、クラスに思い当たる人がいない。

 そういうことに気づかないから、鈍いって言われるのか。

「でもでも、ソラ目当てで天文部に入部した子は、あの子だけじゃない気がするんだけど? ソラはいつもバレンタインでたくさんチョコをもらってたじゃない。毎年バレンタインもホワイトデーもとくに何も言ってこないし、告白されるまでソラが私のことが好きだなんて思ってなかったよ」

 そのことを言うと、ソラは私の頬を両手で挟んでいたずらっぽく笑う。

「だって「バレンタインは好きな子からしか受け取らない」って宣言して全部断ったら、夏美もくれなくなっちゃうと思ったから」

「うっ」

 私ってば、ソラの好きな相手が自分だと気づいていなかったから。