∞8《インフィニティ・エイト》

「ソラ。ここから見える星座はある?」

「北極星はこの時間でも見えるね。あと、あの赤みのある星はさそり座のアンタレス。釣り針みたいな形の星座」

 ソラの指が夜空のサソリをなぞる。

「かに座は春先じゃないと見えないんだっけ?」

「見えるとしたら、二月から三月……高校の卒業式の頃だね」

 穏やかな声音は耳に優しくて、落ち着く。

 触れ合う肩はあたたかい。

 二人で大判のブランケットをはんぶんこして、空を見上げる。

 十八年生きてきて、ソラと二人きりでここに座るのは初めてかもしれない。

 昔、ソラとリクと私の三人で遊んでいた庭。

 目をつむると三人ではしゃいでいた幼い日々の思い出がめぐる。

「卒業後かぁ……。もう、ここで見ることはないんだよね。残念だな」

「そのときは僕の家に来ればいいじゃない。すぐ隣なんだから。父さんと母さん、リクだっているよ」

「あはは、そうだね」

 静かに流れる時間の中で、星の瞬きを眺めながら、手を繋いで指を絡める。

 もしもまた時間がまき戻ってしまっても、離れたくない。

 記憶がリセットされるなんて、いや。

 そして──スマホの画面に、8月9日 0:00の文字が浮かぶ。