∞8《インフィニティ・エイト》

「うまく言えなくて、ごめん。自分の気持ちに気づかなくて、ごめん。ソラとリクは、ずっと真剣に、伝えてくれていたのに。私、逃げてばかりだった」

 風が吹く。

 花火の音が遠く聞こえる。

 ─────ヒュルルルル、ドン!

 鮮やかな灯りが空を照らし出す。

「ずっと、後悔していた。一回目のとき、夏美が引っ越すのが嫌で、お祭で明日が来なければいいと願った。リクが今日みたいに、祭で夏美に告白した。夏美はその場でリクを振って、逃げてしまったんだ。……僕は、怖くなった。もし僕の気持ちも、ああやって拒絶されたらどうしようって。でも、伝えないまま終わるのはもっと嫌で……目覚めたら、また八月八日だった」

 ソラが語るのは、私の記憶から抜け落ちている、一回目の話だ。

 ソラは私の手を握って、指先に唇を寄せる。

 あたたかくて、くすぐったい。

「リクを出し抜いて先に告白してしまえばいいんじゃないか。そう思って、二回目で僕は夏美をここに呼んで告白した。でも、夏美は「自分が選ぶことで、ソラとリクどちらか必ず傷つけることになるのが怖い」と言って泣いた。でも、僕は、どうしても夏美の心が欲しかった。同じ熱を返して欲しかった。三回目……一回目のことも、二回目のことも覚えているのは僕だけで、また、リクが先に告白した。いつだって、リクが僕の先を走っているんだ。どうして僕は、こんなに臆病なんだろうって、自分が嫌になった」

 優しい幼なじみを演じてきたソラのむき出しの本音を聞いて、涙が止まらない。