∞8《インフィニティ・エイト》

 夜風が吹く。

「……ごめん、篠原さん。君の告白には答えられない。僕が好きなのは、ずっと昔から夏美だけだから。夏美がどんなに遠くに行ったって、気持ちは変わらない」

 ソラは芽衣さんにはっきりと告げて、私の手を引いて駆け出した。

 私、やっとわかった。

 見ないようにしていた胸の中の黒い部分。

 ソラが隠していたのと同じような、独占欲、嫉妬、愛。

 誰にも渡したくないという欲。

 他の何を失っても、絶対に譲れないもの。

「私は、ソラが好き。ずっと一緒にいたい」 

 神社の裏手の丘。

 街の灯りも、祭りの喧騒も届かない。

 ホタルと星の灯りだけが頼りの薄暗い場所。

 息を切らしながら駆け上がった私は、ソラの手をぎゅっと握りしめたまま、ソラを見つめていた。



「ソラの隣は、誰にも渡したくない。私は、ソラが好き。ソラじゃないと、だめ」

 口にした瞬間、胸の奥にあったもやが、一気に晴れていく。