∞8《インフィニティ・エイト》

 ありったけの怒りをぶつけられて、リクも負けじと言い返す。

 僕と正反対で、他人の顔色を一切気にせず好きなことを言う。

 包み隠さない、本当の自分を好きになってもらいたいからだ。

 本音をぶつけて嫌ってくるなら、ソイツは根っから合わない人間だったサヨウナラ。

 それがリクだ。

 去るものは追わない。

 嫌いなものは嫌い。

 好きなものは好き。

 だからこそ、自分を全部隠したままで好かれようともがく僕に苛立っている。

「わかるわけねぇだろ!! 兄貴は誰にも本音を言わねーんだから!! 言わないで察しろって無茶苦茶なんだよ!! グダグダ悩んでねーでとっとと行って告ってこいやボケ!! 兄貴より成績の悪い俺に簡単にできたことが、まさか優等生の兄貴にできねえわけねえよな!!」

 十七年生きてきて、僕たちは初めて、ここまで本音をぶつけ合った。

 しばらく黙ってにらみ合い、僕は長い長いため息をついた。

 リクの手を振り払い、玄関へ向かう。

「……もう時間だから行かなきゃ。それだけ偉そうなこと言ったこと後悔させてあげるから覚えてなよ、リク」

「明日の朝の俺が覚えてたらな」

 リクは僕の方を見ず、片手をあげて応えた。