∞8《インフィニティ・エイト》

 指先が震える。

 そうだ、僕はそんなにできた人間じゃない。

 リクは一歩詰め寄ってくる。

 リクの声には怒りと苛立ちが滲んでいた。

 僕と全く同じ造形なのに、僕がしないような顔をする。

「……兄貴さ、俺と同じで甘い物苦手だよな? 甘いの苦手なくせに、いつも夏美に言われたら食ってやってた」

 リクが僕の胸ぐらをつかんで叫んだ。

「夏美に好かれたくて、【優しい幼なじみのソラ】を演じてさ。ばっかみてぇ! お揃いのペンを贈ったり、優等生演じてまで必死に好かれようとする激重のくせに、なんで夏美に告白一つまともにできねぇんだよ、腰抜けが!! それで本当に俺の双子かよ!! なんで、俺じゃないんだ。なんで、こんな……」

 リクも幼い頃からずっと側にいて、夏美を見ていた。

 僕と同じように。

「……うるさい、うるさい、うるさい、うるさい! 黙れよリク!! さっきから、わかった風なこと言って!! こんな、こんなめちゃくちゃな気持ち、受け入れてくれるわけないじゃないか!! 好きになってもらえるわけないんだ!! リクに僕の気持ちがわかるもんか!!」

 僕はリクの腕を掴んで、泣きながら叫ぶ。

 家族の前でほとんど見せない、良い子ではない本音を叩きつけた。