∞8《インフィニティ・エイト》

「………うん。天文学のこと、もっとくわしく学びたいんだ。天文学の教員なりたい。それに、小さい頃星まつりで教わったみたいに、お祭に来る子どもたちに星のことを教えたい」

 夢を語るソラは、とても優しい顔をしている。
 
 将来どうしたいか、ループに陥る前にも話をするチャンスはいくらでもあったはずなのに。

 私たちは初めて将来の話をしている。

 もしかしたら、そういう会話になるのを避けていたのかもしれない。

 引っ越しが決まってから、先の話をするのを避けてきた気がする。

 八月九日以降、ここに私はいない。

 私がいない未来の話。

「……いいね。ソラにすごく合ってると思う。去年の星まつりでも、先生の話すごく熱心に聞いていたもんね。ソラなら絶対、天文学者になれるよ」

「そうかな」

 ソラは頬をかいて笑う。
 ソラの横顔をじっと見ていたら、視線に気づいたソラが私を見る。

「な、なに? どうしたの夏美」

 幾度も巡るループの中で、何度も好きだと言ってくれたソラ。

 いまはループの記憶を持たないソラ。

 ソラであってソラじゃない、すごく不思議。

 私は、ソラのことをどう思ってるのかな?

 ソラが口に出さないだけで、ソラがループの中で言ってきたことは全部ソラの本音。

 七回目のソラは何も言わなかった。

 黙って私を見送るつもりだった。

 たぶん、一回目のループでリクが私に告白しなかったら、ソラは気持ちを隠したまま終わりにするつもりだった。