∞8《インフィニティ・エイト》

 ソラは扉を開け、驚いて目を丸くした。

「え? 夏美? どうしたの、こんな早くに」

 昨日の夜の、疑心暗鬼で冷たくなったソラじゃない。

 いつものソラだ。

 良かった、拒絶されなかった。

 ループのことを覚えていなくても、ソラがソラであるだけで、涙が出そう。
 
「あのね、ソラに話したいことがあって」

「そうだったんだ。ええと、適当に座ってよ」

 ソラは慌てて、机にあった赤本を閉じた。

 東京大学過去問と大きく書かれたものだ。

「東大、受験するの?」

 私が聞くと、リクは観念して過去問を見せてくれる。

 ノートに書き込まれた問題は、難しすぎて私には一つも解けそうもない。

 要点は蛍光マーカーでラインを引いてあって、フセンが何枚も差し込まれている。

 私のシャープペンと色違いの、空色のシャープペンを握り、ソラはページをめくる。

 読み込まれた赤本はくたびれていて、どれほどソラが真剣に勉強に取り組んでいるかわかる。