帰宅した俺は、ベッドに寝転がり、大きく息を吐き出した。
今日は、色々なことがありすぎた。
体は疲労感に包まれているが、同時に、幸福感が胸を満たしていた。
良かった。四倉と仲直り出来て。
俺は先程の出来事を思い出し、思わず自分の唇にふれる。
四倉とかわしたキスの感触が、まだ唇に残っている気がした。
――もっと、したい。
あの時、そんなことを考えてしまった。
それを四倉に伝えなくて良かったと思う。
もし伝えていれば、きっと有無を言わさず、家に連れ込まれていたと思うから。
*
夜になり、俺は配信を開いた。
お馴染みの面々が、コメント欄に現れる。その中にはそらさんの姿もあった。
俺は思わず、口角がゆるむ。
「今日も歌配信をしようと思うんだけど、その前に報告があって」
『まめまめま:なになに?』
『ルル:( ゚Д゚)?』
俺はこの日、リスナーさんたちに路上ライブのことを打ち明けるつもりだった。
しかし、喉から出かけた言葉を俺は飲み込む。
目に入ったのは、食パン王子さんのコメントだ。
『食パン王子:もしかして、陽キャくんと付き合ったという報告ですか?』
「なっ……!!」
顔が一気に熱くなる。そして俺に追い打ちをかけるように、他のリスナーさんたちも次々とコメントを書き込んでいった。
『ルル:柚が……リア充に……!?』
『まめまめま:あ、そういうこと?おめでとう!(*‘ω‘ *)』
「ち、違う違う!そうじゃなくて……!!」
『そら:え?ちがうの?』
俺は思わず反論の言葉を止める。そらさんにそう言われたら、「違う」だなんて言えなくなってしまうじゃないか。
「違くは……ないけどさ……」
『食パン王子:え、ほんとに付き合ったんですか!』
『まめまめま:キャーーー(///▽///)』
『ルル:末永く爆発しろ!』
四倉め……今頃画面を見ながら、ニヤニヤしていることだろう。
俺は興奮気味のリスナーさんたちを落ち着かせつつ、なんとか話を変える。
「話っていうのは、そのことじゃなくて!実は今度、路上ライブをすることになりました」
『まめまめま:え!!まじで!?』
「うん。だから、もし良ければみんなにも来てほしいな……って。住んでる場所が遠かったりしたら、難しいだろうけど。日時とか場所は、あとでSNSの方に投稿しておく」
『ルル:おk、投げ銭しにいくわ』
「いや、お金とかはいらないから!普通に見に来てくれるだけで嬉しいから」
『食パン王子:凄いですね。柚さんの晴れ舞台、絶対見に行きますよ』
『まめまめま:社畜だからその日仕事かもだけど、合間をぬって見に行くよ!』
「ありがとう。実は、俺一人ではなくて、その……友達と一緒にやるんだ」
『ルル:あっ(察し)』
『食パン王子:もしかして陽キャくんですか?』
「あーもう、みんな勘良すぎか……そう、陽キャくんと一緒にやります。二人で一緒に歌う予定」
『まめまめま:柚一人だったら緊張しちゃうだろうし、大丈夫かなって思ってた。でも、陽キャくんが一緒なら安心だね』
「うん。緊張はもちろんするけど……でも、あいつとなら歌えるって、今は自信が湧いてきてる」
『ルル:柚……立派になって……』
『食パン王子:頑張ってください。応援してます』
『まめまめま:柚の歌、直接聞けるの楽しみ!』
リスナーさんたちの声援が、俺の緊張を溶かしてくれる。
するとそんな声援に混ざって、そらさんのコメントが画面に表示された。
『そら:柚ならできる。絶対成功させよう』
「そうだね。成功させよう」
俺はそらさんのコメントに、力強くこたえた。
*
配信終了後。
俺は、四倉に曲のデータを送った。
オリジナル曲を、俺がアカペラで歌った音源だ。
メロディー自体は、前に四倉に弾いてもらった時と大きく変えていない。
しかし、一点。キーを全体的に、低めに調整している。
元々は一人で歌う想定だったため、俺の音域に合わせ、全体的にキーが高くなっていたからだ。
「これなら、四倉も歌えるかな」
そう独り言を言いながら、俺は一枚のルーズリーフを取り出した。そこには、オリジナル曲の歌詞が書き綴ってある。
タイトルは、「雨、時々青」。
俺は消しゴムで、「雨」の後の文字を消す。
そして、曲に新しいタイトルをつけた。
――「雨のち嵐、時々青」。
今日は、色々なことがありすぎた。
体は疲労感に包まれているが、同時に、幸福感が胸を満たしていた。
良かった。四倉と仲直り出来て。
俺は先程の出来事を思い出し、思わず自分の唇にふれる。
四倉とかわしたキスの感触が、まだ唇に残っている気がした。
――もっと、したい。
あの時、そんなことを考えてしまった。
それを四倉に伝えなくて良かったと思う。
もし伝えていれば、きっと有無を言わさず、家に連れ込まれていたと思うから。
*
夜になり、俺は配信を開いた。
お馴染みの面々が、コメント欄に現れる。その中にはそらさんの姿もあった。
俺は思わず、口角がゆるむ。
「今日も歌配信をしようと思うんだけど、その前に報告があって」
『まめまめま:なになに?』
『ルル:( ゚Д゚)?』
俺はこの日、リスナーさんたちに路上ライブのことを打ち明けるつもりだった。
しかし、喉から出かけた言葉を俺は飲み込む。
目に入ったのは、食パン王子さんのコメントだ。
『食パン王子:もしかして、陽キャくんと付き合ったという報告ですか?』
「なっ……!!」
顔が一気に熱くなる。そして俺に追い打ちをかけるように、他のリスナーさんたちも次々とコメントを書き込んでいった。
『ルル:柚が……リア充に……!?』
『まめまめま:あ、そういうこと?おめでとう!(*‘ω‘ *)』
「ち、違う違う!そうじゃなくて……!!」
『そら:え?ちがうの?』
俺は思わず反論の言葉を止める。そらさんにそう言われたら、「違う」だなんて言えなくなってしまうじゃないか。
「違くは……ないけどさ……」
『食パン王子:え、ほんとに付き合ったんですか!』
『まめまめま:キャーーー(///▽///)』
『ルル:末永く爆発しろ!』
四倉め……今頃画面を見ながら、ニヤニヤしていることだろう。
俺は興奮気味のリスナーさんたちを落ち着かせつつ、なんとか話を変える。
「話っていうのは、そのことじゃなくて!実は今度、路上ライブをすることになりました」
『まめまめま:え!!まじで!?』
「うん。だから、もし良ければみんなにも来てほしいな……って。住んでる場所が遠かったりしたら、難しいだろうけど。日時とか場所は、あとでSNSの方に投稿しておく」
『ルル:おk、投げ銭しにいくわ』
「いや、お金とかはいらないから!普通に見に来てくれるだけで嬉しいから」
『食パン王子:凄いですね。柚さんの晴れ舞台、絶対見に行きますよ』
『まめまめま:社畜だからその日仕事かもだけど、合間をぬって見に行くよ!』
「ありがとう。実は、俺一人ではなくて、その……友達と一緒にやるんだ」
『ルル:あっ(察し)』
『食パン王子:もしかして陽キャくんですか?』
「あーもう、みんな勘良すぎか……そう、陽キャくんと一緒にやります。二人で一緒に歌う予定」
『まめまめま:柚一人だったら緊張しちゃうだろうし、大丈夫かなって思ってた。でも、陽キャくんが一緒なら安心だね』
「うん。緊張はもちろんするけど……でも、あいつとなら歌えるって、今は自信が湧いてきてる」
『ルル:柚……立派になって……』
『食パン王子:頑張ってください。応援してます』
『まめまめま:柚の歌、直接聞けるの楽しみ!』
リスナーさんたちの声援が、俺の緊張を溶かしてくれる。
するとそんな声援に混ざって、そらさんのコメントが画面に表示された。
『そら:柚ならできる。絶対成功させよう』
「そうだね。成功させよう」
俺はそらさんのコメントに、力強くこたえた。
*
配信終了後。
俺は、四倉に曲のデータを送った。
オリジナル曲を、俺がアカペラで歌った音源だ。
メロディー自体は、前に四倉に弾いてもらった時と大きく変えていない。
しかし、一点。キーを全体的に、低めに調整している。
元々は一人で歌う想定だったため、俺の音域に合わせ、全体的にキーが高くなっていたからだ。
「これなら、四倉も歌えるかな」
そう独り言を言いながら、俺は一枚のルーズリーフを取り出した。そこには、オリジナル曲の歌詞が書き綴ってある。
タイトルは、「雨、時々青」。
俺は消しゴムで、「雨」の後の文字を消す。
そして、曲に新しいタイトルをつけた。
――「雨のち嵐、時々青」。

